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都市デザイン研究室マガジン221号

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T H E V A L U E O F C O N F E R E N C E P R E S E N T A T I O N S

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▲ 名 古 屋 市 条 例 に 従 い 2m 近 く 盛 土 さ れ た 住 宅 地 空間実現のツールを探る D 1 児 玉 、 優 秀 修 士 論 文 賞受賞! Ex p lo ring the tools of spatial realization D 1 K odam a received aw ard for her m aster t h e s i s   昨 年 度 修 士 を 修 了 し た D1 児 玉 が 日 本 建 築 学 会 の 優 秀 修 士 論 文 賞 を 受 賞 し、9 月 12 日( 金 ) に 建 築 学 会 大 会 に て 表 彰 式 が 行 わ れ ま し た。 児 玉 さ ん の 修 士 論 文 は、 災 害 リ ス ク の 高 い 土 地 へ の 開 発 コ ン トロール手法の1つとして災害危険区域 制 度 を 取 り 上 げ、 そ の 制 度 的 源 流 を 明 ら か に す る と と も に、 理 念 お よ び 実 践 上 の 課 題 を 明 ら か に し ま し た。 事 例 と し て、 伊勢湾台風以降半世紀にわたって実際に 災害危険区域を設定し続けている名古屋 市 条 例 に 着 目 し、 そ の 長 期 経 過 を 追 う こ とで制度上のジレンマを述べた明確な論 旨 が 評 価 さ れ ま し た。 ま た、 人 口 減 少 社 会における防災性と市街地再編をかね合 わせた都市計画手法の1つとして災害危 険区域を捉え直すという観点から基礎的 な 資 料 を 提 供 し て い る と い う 意 味 で も、 将来性を 高 く 評 価 さ れ ま し た 。  今回は修士論文のテーマの選定理由や 苦労など論文執筆の過程について伺いま す。 * ーまずは受 賞 の 感 想 を お 願 い し ま す 。   先 生 方 を は じ め 沢 山 の 方 に 御 指 導・ 御 協 力 頂 い た の で、 皆 さ ん の 御 恩 に 少 し は 報いることができたかなとほっとしてい ま す。 正 直、 か な り 稚 拙 な、 未 熟 な 論 文 で 、 直 前 ま で 全 く 仕 上 が ら ず、 論 文 賞 に 応募する意味なんか無いんじゃんと思い ながら郵送したので…そんな読みづらい ものを精読してくださった審査員の皆様 にも、頭がさがる思いです…正直恐縮で す…。 ー 昨 年 度 の 研 究 室 会 議 で は、 研 究 テ ー マ について悩んでいるようでしたが、それ でもすでに何か着眼点を持たれているよ う に 感 じ ま し た。 ど の よ う に そ れ を 見 つ けたのでしょうか?   最 初 の き っ か け は、M 1 冬 に 履 修 し た 復興デザイン研究体スタジオのスピンオ フ 企 画 で 災 害 危 険 区 域 見 学 会( @ 陸 前 高 田 市・ 大 槌 町 ) に 参 加 し、 防 災 集 団 移 転 促進事業と災害危険区域指定について調 べたのが始まりでした。   私 は 元 来 地 形 萌 え 派 と い う か、 都 市・ 地域空間が地理的な条件に素直に従うと とても魅力的になると感じていて、そう いう地理的な条件をうまく使った空間を み つ け る の が 大 好 き で し た。 た だ 、 現 代 都市は技術力でほとんどの地理的条件を 表 面 上 克 服 し て い ま す 。低 湿 地は 埋 立 て 、 ポ ン プ 排 水 し て 開 発 す る し、 台 地 に も 加 圧 送 水 で 水 道 を 通 す 、崖 は 切 って 固 め る 、 谷 は ト ン ネ ル で つ な ぐ、 浅 い 海 は 浚 渫 す る。 環 境 保 護 主 義 者 で は な い の で 、 そ れ を盲目的に悪と見なすわけではありませ ん。 た だ、 こ れ ら は 地 理 的 な 条 件 を 表 面 上 見 え づ ら く し て い ま す。 土 地 の ユ ニ ー ▲建築学会の授賞式にて 2

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ク さ は「 条 件 不 利 」 と い う 克 服 す べ き 対 象と見做されて地域の文脈から切り離さ れ、国や地域外主体からの外部資本で投 資・開発され、日本全国隈なく発展して きたのだと思います。  東日本大震災以降かなり理解され易く な り ま し た が、 災 害 リ ス ク の 高 い と こ ろ から市街地を縮退させるというのは人口 減少下の集約型都市実現手段としてあり 得 る と 思 い ま す。 で も 土 地 所 有 者 が い る 以上制度運用上は困難が多いですし、リ ス ク 低 減 の 経 済 的・ 精 神 的 コ ス ト を 誰 が 負 担 す る の か、 国 か、 地 域 か 、 個 人 か 、 という問題は東日本大震災の被災地でも 答えが出ていません。その中で、災害危 険区域制度は「国はやらないので、地域 で決めてくれ」ということを当初から 謳 っ て い て「 全 国 隈 な く 発 展 さ せ る 」 と いう前世紀の国の姿勢とは矛盾してい る。ここに疑問を感じて、詳細を調べる ことになりました。 ー ま た、 途 中 か ら テ ー マ が 変 わ っ た よ う で し た が 、 そ れ は ど うしてでしょうか?  都市計画の専門性ってそもそも何か な っ て 考 え る と、 空 間 を 実 現 す る 手 段 か ら 離 れ て は 存 在 し 得 な い と 思 う ん で す。 だ か ら、 研 究 で は 空 間 像 そ の も の で は な くて、空間を実現する手段、そのツール や仕組みを対象にしたいと考えてきまし た。どういうシステムの中で、どういう 主体が意識的もしくは無意識的に行動 し、どういう空間になるのか。そういう 意 味 で、 何 か 特 定 の 空 間 に 興 味 が あ る わ け で は な く、 あ く ま で も 空 間 を 実 現 す る ためのツールを探していたこともあっ て 、 研 究 テ ー マ は 二 転三転しました。  ちなみに災害危険区域制度は、そうい う主体が従うシステムが不在だったこと で、都市地域空間をうまくコントロール できなかった。実際には、保険制度など 新しい仕組みを導入して変えていく必要 が あ る の だ と 思 い ま す し、 研 究 で も そ う いう提案までできれば万々歳だったので すが、そこまではできなくて…とりあえ ず現時点での既存制度の問題点を指摘す るという体裁に な り ま し た 。 ー修士論文を仕上げるにあたってどのよ うにモチベーションを維持したのでしょ うか?また、苦労したところを聞かせて ください。  M2 春 に 都 市 計 画 論 文 集 に 投 稿 し 秋 大 会で様々な方から意見を頂けたのが大き か っ た で す。 見 ず 知 ら ず の 方 が こ の 論 文 に興味を持ってくださったことがすっご く 嬉 し く て、 責 任 を も っ て こ の テ ー マ を 書き上げようと 思 う こ と が で き ま し た 。   初 め て 論 文 を 書 い た の で、 調 査 計 画 や 資 料 管 理 な ど、 初 歩 的 な ノ ウ ハ ウ も 無 く て、 ずっと苦し か っ た で す 。イ ン タ ビ ュ ー のアポイントメントを取るのもスムーズ に い か な か っ た し、 タ ウ ン ペ ー ジ か ら 電 話 か け て み た り、 連 絡 は 取 れ て も な あ な あ に 躱 さ れ た り。 そ ん な の 当 然 の こ と で すけど、時間がないと心の余裕がなく本 当にもうやめたいなあって思うことが沢 山 あ り ま し た。 で も 先 生 方 や 周 囲 の 人 を 巻き込んでしまった以上自分が諦めるわ け に は い か な い と い う か、 む し ろ 退 路 を 断つために人を巻き込んだというか…惜 しみなく協力してくださる方を裏切るわ けにはいかないと思いながら執筆してま した。 ーまだ修士論文を書いたことのない後輩 達 に 向 け て、 論 文 を 書 く 上 で 児 玉 さ ん な りに気をつけた こ と は あ り ま す か ?  皆さんも都市とか空間のことを考える の が 好 き で 都 市 工 に い る と 思 い ま す が、 普段そういう話をするのって同期の友人 や身近な先生方とかがほとんどなのでは な い か と 思 い ま す。 話 が 通 じ る と 嬉 し い し、通じないと ち ょ っ と が っ か り す る と ー 博 士 課 程 に 進 学 さ れ て、 こ れ か ら の 研 究はどのような方針で進めていくので しょうか?  災害以外の観点からも人口減少期の市 街地再編について考えたいと思っていま す。 イ ン フ ラ の 維 持 管 理 等 に も 地 理 的 な 条件というのは決定的な影響を与えてい る し、 歴 史 的 な 文 脈 の 中 に は 必 ず 地 理 的 な 条 件 が 絡 ん で い る。 ど う い う 空 間 を、 ど う い う 手 段 で 実 現 す る か、 空 間 像 と ツールの両方をつなげて論じることがで きればと思っています。   た だ、 修 士 課 程 で も、 ど ん な 論 文 に な るのか全く見通せていませんでした。災 害 危 険 区 域 で 書 く と 決 め た の も M2 の 1 2 月 な の で、 ほ ぼ ず っ と ふ ら ふ ら ー ふ わ ふ わ ー っ と し て ま し た( 笑 ) 。博士課程で も ど う な る か わ か り ま せ ん。 も ち ろ ん 計 画 的 に 進 め た い ん で す が、 目 に 触 れ る い ろんなものを柔軟に吸収しながら…とい うと都合が良すぎる響きがするので言い 換 え る と、 心 を 開 い て と い う ん で し ょ う か 、 い わ ゆ る s e ns e o f wo nde r を 持 ち 続 け て、 出 会 う も の に 心 を 動 か さ れ な が ▲返送されてきた住民アンケートに感激。  郵便局の後納担当者の方にも感謝…。 い う か …。 私 は 修 士 の 間 に 学 会 で 発 表 す る こ と で、 そ の 外 側 の 世 界 と い う か 、 自 分の身近なところ以外にも投げかければ 通 じ る ん だ っ て い う 感 触 を 得 て、 す ご く 視 界 が 開 け た 気 が し ま し た。 皆 さ ん も、 ア イ デ ア を ど ん ど ん 外 に 出 し て、 先 生 や 友人だけでなく早い段階で外部の方と意 見 交 換 し て い く と、 く よ く よ せ ず に 次 へ 次へと進めるのではないかと思います (笑) 。 当たり前のことかもしれないけど、 私は学部で研究しなかったこともあっ て、 そ う い う 感 覚 に 気 づ く の が 遅 か っ た の で、 そ れ ま で 勿 体 無 い 時 間 を 過 ご し た なと思っています。 ▲普段見過ごしていた名古屋港基準面の電柱標示 ら博士課程を過ごしていきたいです。 3

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2014 年度日本建築学会大会 in 神戸 開催 ! Arch itectural Ins titute of Japan A nnual M eeting 2014 i n Ko be   9 月 12 日 ( 金 ) か ら 14 日( 日 ) ま で 神 戸 大 学 に て 2014 年度日本建築学会大会(近畿)が開催されました。阪神淡路 大 震 災 か ら お よ そ 20 年 と い う 神 戸 で 行 わ れ た 今 回 の 大 会 に は 研 究 室 か ら 現 在 の メ ン バ ー や O BO G が 参 加 し 、 個 人 の 研 究 成果を発表しました。また、毎年恒例となっている懇親会も 行われ、お互いの研究や近況について様々な会話が交わされ ま し た。 そ の 中 で、13 日( 土 ) に 発 表 を 行 っ た M1 李 に 発 表 し た 論 文 の 内 容 や 実 際 に 発 表 を し た 感 想 を 聞 き ま した 。 発 表 者 一 覧(敬称略) 発表 者 永井 ふ み 李美 沙 羽野 明 帆 森朋 子 宋知 苑 田中 暁 子 江口 久 美 西川 亮 題目 住 環 境の価値を維持保全する主体の形成を 実 現 す る た め の 計 画 技 術 に つ い て ― 次 世代郊外まちづくり「住民創発プロ ジ ェ ク ト 」 を 対 象 に ― 地 域 密着型不動産企業のコミュニティビジ ネ ス の 実 態 に 関 す る 研 究 - 大 里 綜 合 管 理 ( 株 ) を 対 象 と し て - 神 田 における老舗集積の立地要因と役割- 旧 連 雀 町 ・ 佐 柄 木 町 地 域 の 老 舗 に 着 目 し て - ネ パ ール・ルンビニにおける世界遺産登録 を 契 機 と し た 文 化 遺 産 保 全 の 実 態 と 展 望 - ア ジアの途上国における文化遺産保全 に 関 す る 研 究 - 歴 史 的建造物保存における本来の用途・再 生 後 の 用 途 と 「 体 験 価 値 」 の 関 係 に つ い て - 米 国ニューヨーク J o hn F. Kennedy 国 際 空 港 T WA タ ー ミ ナ ル を 事 例 に ー ブ リ ュッセルのグラン・プラスにおけるコ ミ ュ ー ン 都 市 計 画 規 則 に よ る 屋 外 広 告 物 コ ン ト ロ ー ル ブ ザ ンソン市における住民諮問委員会の活 動 に 関 す る 研 究 - ト ラ ム プ ロ ジ ェ ク ト を 対 象 と し て - 文 化 庁「歴史の道」事業に関する研究 M1 : 李 美 沙 建築学会大会に参加して  今年の建築学会大会で卒業論文を発表し、厳かな雰囲気に か な り 緊 張 し ま し たが、とても良い経験だったと思い ま す 。   卒 業 論 文 で は、 千 葉 県 大 網 白 里 市 に あ る 大 里 綜 合 管 理 ㈱ と い う 不 動 産 会 社 を 事 例 に、 地 域 密 着 型 企 業 に よ る コ ミ ュ ニ テ ィ ビ ジ ネ ス の 実 態 に 関 す る 調 査 を 行 い ま し た 。 こ こ は、 不 動 産 業 を 主 と し て 営みながら、10 年以上継続して地 域 貢 献 活 動を行っている所で、社屋を一般に開放しながら活動してい る 点 が 特 徴 的 な 会 社 で す 。 例 え ば 、 駅 前 の 交 通 整 理、 ト イ レ 掃 除、 地 域 の 主 婦 の 方 々 に よ る 日 替 り ラ ン チ の レ ス ト ラ ン 経 営、 地 域 の 人 が 先 生 に な る カ ル チ ャ ー 教 室 の 運 営 等 々、 調 査 当 時 に 実 施 中 の 事 業 は 計 91 事 業 あ り ま し た。 こ こ で 様 々 な 活 動 の 運 営 に 参 加 さ せ て い た だ き な が ら 、 ヒ ア リ ン グ、 ア ン ケ ー ト 調 査 、 空 間 利用実態調査を行いました。   質 問 は な く、 思 っ て い た よ り も あ っ さ り と 終 わ っ て し ま い ま し た が 、発 表 後 に似た事例を教えて下さる親切な方 が い て 、 ▲神戸大学から見た神戸の街並み 学会はそういった同じ分野の研究をしている人との情報交換 や繋がりのできる場なのだと実感しました。また、私の後に 発表していた方で、ヒアリングすること自体も難しいような 海外の人々を対象に研究をしている方がいたのですが、研究 に対する熱意が発表から感じられて、とても良い刺激になり ました。もしまた発表する機会ができれば、受け身な姿勢で いるばかりではないように心がけたいです。 9 月のウェブ記事 帯の幅ほどある町を 編集長のデトロイト渡 航 記   是 非 ご 覧 下 さ い : h t t p:/ / u d .t .u - t ok y o.a c .j p /ja / b lo g / 表紙写真:左から神戸港、神戸ムスリムモスク、メディテラス、ヨドコウ迎賓館 提供:D2 宋 編集後記 道喜 開視   研 究 室 旅 行 で 中 国 の 上 海 と 杭 州 に 行 っ て 参 り ま し た 。杭 州 で は OG のシュウランさんを始めとする、浙江大学の学生達に案内を し て 頂 い た の で す が 、中 に は 日 本 の こ と が 大 好 き で 日 本 の バ ラ エ テ ィ 番 組 を よ く 見 る と い う 学 生 が い ま し た 。彼 に ア ン ジ ャ ッ シ ュ (芸人) のすれ違いコントを紹介してもらったのですが、 10 フレー ズ ぐ ら い を 正 確 に 覚 え て お り 、そ の 好 奇 心 と 記 憶 力 に と て も 驚 き ま し た 。 中 国 で は 咳 風 邪 を ひ い て い る 人 も い ま し た が 、日 本 人 も 日本のお笑いで笑って、元気になりましょう。笑門来福。 10 月の予定 10 10 10 10 10 日 月 月 月 月 6 日  神田勉強会 10 日~ 12 日 佐原秋の大祭 12 日        ミ ナ ト ブ ン カ サ イ 2014 17 日        第 5 回 研 究 室 会 議 24 日 研 究 室 OB に よ る 設 計 事 務 所 の 会 4

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