UrbanDesignLabMagazine-vol219

 

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Urban Design Lab. Magazine - vol.219

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2014.07.29 vol. 219 ス タ ジ オ 課 題 を 終 え て L O O K I N G B A C K O N T H E S T U D I O S 演 習 振 り 返 り 座 談 会 学 部 3 年 地 区 開 発計画演習 p .2 植 物 と 都 市 2 0 1 4 年 建 築 学 専 攻 設 計 製 図 第 一 千葉スタジオ p .4 阪 神 淡 路 大 震 災 の リ デ ザ イ ン 復 興 デ ザ イ ンスタジオ p .6 東京大学 工学部都市工学科/ 工学系研究科都市工学専攻 都市デザイン研究室 編集長: 高梨 遼太朗 柴田 純花 中村 奈菜美 益邑 明伸 http://ud.t.u-tokyo.ac.jp/ 編集委員:道喜 開視 原 由希子 柄澤 薫冬

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演習振り返り座談会 学 部 3 年 地 区 開 発 計 画 演 習 A Ro u nd Table Talk Reflecting on the B3 D istrict D evelopem ent Planning S t u d i o  修士から専門を変えて都市デザイン研 究 室 に 来 た 今 川・ 髙 橋・ 中 村 が B3 の 地 区開発計画演習を履修しました。その振 り 返 り と し て 演 習 TA であった M2 高梨・ 道喜、M1 柄澤との座談会を行いました。 P J 等 と の 兼 ね 合 い で満足に手を動かすこ と が 出 来 ず、 反 省 も 多 く 残 る 少 し 低 め の 自 己 採 点 と な っ た ようです。 * ー対象敷地 対 象 地 は 東 京 都 荒 川区荒川二丁目。町屋 駅 の 南 東 3 0 0 m に 位置する 3ha の土地 へ の 開 発 計 画 を 立 案する。対象敷地のす ぐ 東 を 都 電 荒 川 線 が通り、その先の高台 に は 荒 川 自 然 公 園 がある。西側は下町の 木 造 密 集 市 街 地 が 拡がっている。 * ー自己採点 柄澤 このような演習をとって実際どう だった? 今川 ここまでやる授業があるという驚 き。 徹 夜 し て ま で や る 授 業 は な か っ た。 でも受ける前からそれは聞いていて、ワ ク ワ ク し て い た 。 終わった後は、 絶望感。 高梨 正直終わった後、自己採点すると 2 したら? 髙橋  3 5 点 。 赤 点 ギ リ ギ リ で 。 一同  3 5 点 っ て 赤 点 で し ょ ー 髙 橋  35 点 は 赤 点 じ ゃ な い っ す よ ... ! 終わった後直感的にやばいとは思った が 、 そ の 後、 自 分 の パ ネ ル 見 て 反 省 点 が ど ん ど ん 出 て く る。 考 え て い な か っ た こ と で は な く、 頭 で わ か っ て い た こ と を 落 とせなかっ た 。 高梨  先生 に つ っ こ ま れ た の は ? 髙 橋  誰 が ど う い う 行 為 を こ こ で す る の か ? と い う こ と。 聞 か れ て パ ッ と イ メ ー ジ が で き な か っ た。 実 際 に 自 分 が や っ て みて意識しないといけないということが 改めてわか っ た 。 高 梨  ち ょ っ と 広 場 の ツ メ が 雑 だ っ た よ ね、とか( 笑 ) 。  話を戻す と 、 今 川 は 何 点 ? 今 川  乗 り 切 っ た と い う そ れ だ け の 勢 い で 60 点 。 そ れ に 3 点 加 え て 63 点。 最 後まで迷っていた部分をほんの少しでは あるが形を変えたことが自分にとっては 良 か っ た。 ず ら し て う ま く 組 み 合 わ せ る よ う な 形 に し た。 最 初 は す っ き り し て い る 方 が 良 い の で は と 考 え て い た が、 別 に 路地性というのはそういうことにこだわ ら な く て も 良 い の で は な い か と。 高 梨   最 後 の 最 後 に 1:200 で 変 え た 経 験 っ て の は す ご い 貴 重。 そ れ が 1 週 間 前 に で き る と い い ん だ け ど ね ( 笑 )。 今川 全体的に中途半端だった。忙しさ を 言 い 訳 に し た く な い が、 手 を 動 か す 時 間は別にしても思考はもう少しちょこ ち ょ こ で き た の で は 。 中 村 さ んは ? 中村 終わってないので言うことはでき な い 。 若 さ が 必 要 ! M 1 は 歳 とり 過 ぎ 。 ーそれぞれ大学では違う専門 柄澤 卒論で取り組んでいた防火建築と いうような論文ベースの考え方は、具体 的に提案となると違った? 髙 橋   論 文 は 頭。 実 際 手 を 動 か す と な る とうまくいかなかった。 高 梨  逆 に 論 文 で 入 っ て き た 身 と し て は、 他 の こ と が 足 り な い よ ね、 と い う の はある? 道喜 例えば復興デザインのスタジオだ と 、前 に 座 学 が あ っ て 、ス タ ジオ が あ る 。 髙 橋   あ ぁ。 自 分 で 考 え て、 人 に 聞 い て 覚 え る の も 必 要 だ け ど、 最 低 限 の と こ ろ

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M1: 今川高嶺 M1: 髙橋瞬 M1 : 中 村 奈 菜 美 うえる下町  人の手で作り出されるものが見える町 にしたい。  人の営みにより絶えず町が更新されて い く 、 そ ん な 集 合 住 宅を作りました。  大事にしたのは路地によるしみだす生 活 感 と、 畑 や 個 人 の 庭 ス ペ ー ス と い っ た 土の空間の確保です。また、西側の下町 的な低層建築物の通りと、そこにある商 店 を そ の ま ま 活 か し、 連 続 的 に な る よ う に設計しました。   詳 細 部 分 で は、 個 々 の 建 築 物 で 階 段 状 に 庭 を 配 置 し て い き、 多 少 凹 凸 の あ る 形 にすることで、路地感と庭スペース、土 の 余 白 部 分 の 確 保 の 両立を図りました。 近くのみどり 遠くのみどり   近 代 以 降 NI MB Y の 集 積 が 目 立 っ た 対 象 地 区 だ が、 荒 川 自 然 公 園 及 び 地 区 西 側 の木造密集地域に残る緑は貴重な地域資 源の 1 つである。この資源を活かした計 画作りを目指 し た 。   ま ず 地 上 か ら 約 6m の 高 さ に あ る 自 然 公 園 へ の 眺 望 景 観 の 創 出 を 図 っ て い る。 この結果地区内の各オープンスペースか らは緑豊かな 公 園 が の ぞ め る 。  次に公園へのアクセス性を高めるべく 公園に至る新 た な 街 路 を 設 け た 。  また西側では木密のスケールを活かし た住居の設計 を 行 っ て い る 。 うた庭テラス   町 屋 は、 迷 惑 施 設 の 集 中 な ど、 歴 史 的 に 負 の イ メ ー ジ が あ り ま す。 私 は 、 こ の 敷地から新しいイメージを発信したいと 思 い ま し た。 荒 川 は 、 ウ ィ ー ン と 姉 妹 都 市 で あ り 、児 童 合 唱 団 の 交 流 が あ りま す 。   う た 庭 テ ラ ス で は、 住 棟 に ガ ラ ス 張 り の「 う た テ ラ ス( 音 楽 練 習 室 ) 」を併設 します。  散歩していると誰かの演奏する音楽が き こ え、 う た テ ラ ス の 窓 を 開 け て 庭 に 座 れば野外コンサートホールができる。そ んな音楽の街・町屋を発信したいです。 はミニレクチャーなどがあれば良かった か も 。 カ ッ タ ー の 使 い方とか。 道 喜  そ こ は 自 分 で 聞 い て ほ し か っ た。 ( 笑 )。でも 3 年に混じって聞くのは憚ら れ る の か も し れ な い けど。 今川 あとは、アイデアの内容について 深く議論できたらおもしろかったかもし れ な い。 ア イ デ ア が 根 本 的 に 良 い か ど う かまで戦えたら。 柄澤 建設系とは違う分野から来ると違 いはどう? 中 村   4 月 か ら の ま ち 歩 き で、 石 神 井 公 園 で の 小 泉 先 生 の レ ク チ ャ ー、10m ま での高さ制限とか頭で決めてしまうか ら、ズレてしまう。頭の中のイメージと 形がやっぱり違っていて、そこを認識し て お く 必 要 が あ る。 自 分 は 行 政 官 に な り た か っ た の で、 文 系 の 行 政 官 が 技 官 を 使 うという目線になると、ズレがあること を 認 識 し て、 そ の 時 に 現 場 の 声 に 耳 を 傾けなきゃいけないんだなということを 思 っ た 。む し ろ 、 こ こ の人たちはスペシャ リストとしての能力を磨けばいいけれど も、ジェネラリストとしてはこのことを 知 っ て お く べ き。 使 う と 言 う と 法 律 職 の 人が偉いというようなイメージがあるが そ う で は な く て、 ち ゃ ん と 現 場 の 意 向 を くむことが大 事 な ん だ な と 。 今 川  確 か に 実 際 に 設 計 し て み て 法 律 は 大きいと思っ た 。 ー既存の文脈 の 活 か し 方 髙 橋  例 え ば、 既 存 市 街 地 の 更 新 と か が 都市工の演習 で あ っ た り す る の ? 高 梨  黒 瀬 先 生 は 本 当 は 敷 地 を も う 少 し 小さくして密集市街地の建て替えシステ ム を や り た か っ た。 し か し、 難 し す ぎ る と却下された 。 柄 澤  で も 年 々 難 し く は な っ て き て い る。より敷地の周辺との繋がりを考えな くてはならない よ う に な っ て き て い る 。 髙 橋  東 側 ( 公 園 側 ) の 眺 望 を 意 識 し て い た が、 西 側 ( 木 造 密 集 市 街 地 側 ) を 意 識し過ぎてしま っ た 。 柄澤  西との 繋 が り は ど う 解 こ う と ? 今 川  最 初 に 見 学 し た 段 階 か ら、 い い な と 思 い な が ら 歩 い て い て、 西 側 を 活 か そ うと考えていた 。 高 梨  頭 の な か コ ミ ュ ニ テ ィ 、 コ ミ ュ ニ ティしてるな ( 笑 ) 。 ーグループ課題の地区分析がどう設計に 生きたか 柄澤 地区分析は結局個人でやったのし か 身 に 付 か な い と 思 う。 他 人 の や っ た こ と っ て 受 け 流 し て し ま う。 地 区 分 析 で やったテーマは設計に結びついた? 今 川   歴 史 班 は 活 か せ て い た が、 自 分 の いた人口立地班は基礎情報だと思う。設 計 は 、 僕 の 心 の 底 か ら 出 し た も の ( 笑 )。 中 村   私 は 交 通 班 だ が、 交 通 に は フ ォ ー カ ス し な く て、 歴 史 班 の 話 に フ ォ ー カ ス し て い た。 地 区 分 析 で 何 を 得 な き ゃ い け な か っ た か が わ か ら な か っ た。 人 口 と か に 代 表 さ れ る 正 確 な 情 報 な の か? 自 分 の ストーリーみたいなものか? 柄澤 確かに歴史のようにストーリーを 組み立てていくものと人口や交通のよう な 基 礎 情 報 が あ る。 単 に ひ と つ の 地 区 分 析課題としてしまうのではなく 2 フェー ズに分けてもよかったかもしれないね。 高梨 最後に道喜さんの自己採点は? 道 喜   100 点。( TA 作 成 の 周 辺 模 型 で ) 十分働いた! 一同 間違いない! ( 笑 )。 ( 編集 : M1 柄澤 ) 3

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▇ ▇課 題 説 明   都 市 に は、 多 く の 植 物 が 植 え ら れ て い る。 そ れ ら は 、 樹 種 や 植 え ら れ て い る 位 置・ 数 等 、 設 計 者 の 何 か し ら の 意 図 に よ っ て そ の 場 所 に 植 え ら れ る。 そ こ で こ の 課 題 で は、 都 市 に お け る 植 物 の あ り 方 に つ い て 、 自 分 な り の 解 釈 を も っ て 設 計 を 行 う こ と を 目 的 と す る。 都 市 の ラ ン ド ス ケ ー プ が ど う あ る べ き か、 建 築 と ラ ン ド ス ケ ー プ 双 方 の 観 点 か ら 考 察 す る。 計 画 地 や 規 模・ プ ロ グ ラ ム は す べ て 自 由 に 設 定 す る こ と が で き る 。 中 間 発表 ま で の 前 半 は 、 リサーチを中心に行い、 後半は、 実際に設計を進める。 植物と都市 2014 年 建 築 学 専 攻 設 計 製 図 第 一 千 葉 ス タ ジ オ Veg etation and Cities - 2014 Dept. of A rchitecture D esign Studio 1 (Prof. C h i b a )  M1 森 川 と 李 が 建 築 学 専 攻 開 講 の 設 計 製 図 第 一 を 受 講 し、 森 川 が 千 葉 ス タ ジ オ の優秀作品に選ばれました。李から森川 へインタビューを行いつつ、都市工から の受講者の少ない建築スタジオの実態に 迫ります。 * 李 まずは最終講評会までの長い戦いを 乗 り 切 っ た 感 想 を 聞かせて下さい。 森川 率直に、 想 像以上に疲れました ...。 李 研究室泊まりの日々、お疲れさまで し た! ス タ ジ オ 期 間 中 は ず っ と 走 り っ ぱ なしだったかと思いますが、作品のどこ に 特 に 力 を 入 れ て いましたか。 森 川   い や い や 、お互いお疲れ様でした。 模 型 は、 質 感 に こ だ わ っ た つ も り で は あ るかな。道路表現は、スチペにジェッソ とサンディを混ぜたりして。木は、どう す る か ず っ と 悩 ん でた ...。 あ と、 リ サ ー チ か ら コ ン セ プ ト • プ ロ グ ラムを練る練習をほとんどやってこな か っ た の で、 そ こ は 意 識 し て や ろ う と し て た 。 で も 、 全 然 出来なかったけど! 李 木悩んでたね。冗談で話していたら 4 本当にパセリを買ってくるとは思いませ んでした、 さ す が ! 森 川  パ セ リ 懐 か し い! 夜 に 買 っ て、 朝 はもう使えないくらいしなしなになって いたという ( 笑 ) 。 李  植 物 を 扱 う よ う な 今 ま で や っ た こ と の な か っ た で あ ろ う テ ー マ で、 ギ ャ ッ プ を 感 じ た こ と や、 逆 に バ ッ ク グ ラ ウ ン ド を 活 か せ た 部 分 は あ り ま し た か。 も し く は、この課題から視点が変わったとか学 んだとかで も い い の で 教 え て 下 さ い 。 森 川  ギ ャ ッ プ か 分 か ら な い け ど、 難 し か っ た の は 植 物​ と都市という広すぎる設 定をどう扱っていいのかただただ分から な か っ た。​​ 二 人 で 結 構 悩 ん で た よ ね、 こ のテーマ。   あ と 、 こ の 課 題 を 通 し て、 植 物 っ て ​ 設 計する上で重要なんだなって改めて実感 し た か な。 最 近 は 、 実 際 に 街 中 歩 い て い る時に、​​ 植物ばかり見ちゃうんだよね。 李  た し か に 広 す ぎ る!! テ ー マ も み ん なばらばら で 面 白 か っ た よ ね 。千 葉 先 生 、 成 瀬 先 生、 三 谷 先 生 の 3 名 の 先 生 方 か ら エ ス キ ス し て も ら え て、 そ れ ぞ れ 視 点 や 意 見 が 違 う こ と も あ っ た け れ ど、 各 先 生 方から受けたエスキスで印象に残ってい る こ と が あ れ ば 教 え て く だ さ い。 森川 千葉先生にとりあえず手を動かす こ と を 再 三 再 四 言 わ れ、 で も 持 っ て い く と、 提 出 ぎ り ぎ り で も 、 も っ と い い も の ができるってざっくりと言われて。終わ り が 見 え な か っ た け ど、 ど こ ま で も 突 き 詰 め る こ と は 大 事 だ と 思 っ た ね。 あ と、 深 夜 の テ ー マ ソ ン グ は 、 M r.Ch i l d r e n の 終わりなき旅だった(笑) 。 李   終 わ り な き 旅 ! ぴ っ た り だね 。  最後に、 こ の ス タ ジ オ を と って 、 良かっ たなと思うことや今後に活かしていきた いこと等を聞かせて下さい。 森川 植物と都市っていうテーマで取り 組 ん で、 で き る 限 り 広 域 的 に 設 計 地 の あ り方を考えようとしたことは、 良かった。 結 果、 あ ま り 生 か さ れ て な い の だ け ど。 あ と、 建 築 の 学 部 生 の み な さ ん が 、 す ご く 優 秀 で、 め げ ず に( 笑 ) 。課題に真っ 直 ぐ に 取 組 む 姿 勢 は 勉 強 に な った ! 最 後 に、 植 物 と 人 と の 空 間 の つ く り 方 ( シ ー ク エ ン ス 的 な 面 か ら も ) が、 あ ま り 考 え ら れ て い な か っ た か ら、 そ こ は 課 題ですね。 ( 編 集 : M1 柄 澤 )

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M 1 : 李美沙 銀 座夜小路計画 Misa LEE G i nza N i g ht A l l ey Pl a n べ く、 植 物 に と っ て は 生 息 し や す く 、 人 にとっては自動車に邪魔をされずに回遊 しやすい空間を都市の中に再編しようと いう主旨のもとで計画しました。   対 象 地 の 銀 座 は、 道 は 煉 瓦 で 舗 装 さ れ て い て、 建 築 物 同 士 の 間 に は 固 有 の 路 地 が あ り、 あ ら ゆ る 年 代 の 人 々 で に ぎ わ っ て い ま す。 最 近 で は 、 屋 上 緑 化 が 盛 ん に 行 わ れ、 高 さ 制 限 の 緩 和 に よ り 高 層 建 築 物 が 増 え て き て お り、 ル ー フ ス ケ ー プ に 変 化 が 現 れ 始 め て い ま す。 こ う し た 特 性 か ら、 点 在 す る 屋 上 緑 化 を つ な げ 、 新 た に 植 樹 を し な が ら、 銀 座 に 屋 上 散 歩 道 の 提 案 を し ま し た 。ま た 、 屋 上 に は ビア ガ ー デ ン や テ ラ ス・ バ ー 等 と し て 利 用 さ れ る 特 徴 が あ る こ と を 活 か し、 夜 に 咲 く 植 物 を 集 め、 そ れ ぞ れ 異 な る 生 息 環 境 で あ る こ と を 考 慮 に 入 れ つ つ、 夜 に 特 化 し た 植 物園としての機能も考えました。  都市の中の植物を意識して見てみる と、コンクリートで覆われた大地の隙間 から窮屈そうに顔を出していたり、規制 緩和の “ アメ ” として利用されていたり というように、特に都心は、植物の入る 余地のないくらい構造物で埋め尽くされ て い る こ と、 人 工 的 に 点 々 と 後 付 け の よ うに植樹されていること等の現状があり ます。   こ の 作 品 は、 こ の よ う な 現 状 を 打 破 す M1: 森川千裕 C h i h i r o M O R I KAWA 植物と暮らす  東日本大震災時に液状化被害が甚大であった浦安市では、公 園緑地などの木の根が深く張っているところでは被害がほぼ見 ら れ な か っ た と い う 調 査 結 果 が 残 さ れ て い ま す。 そ こ で、 「液 状化と植物」をコンセプトに対象敷地を浦安市入船地区とし、 設計を行いました。   入 船 地 区 の 現 況 か ら、 プログラムは地域の核となる公共施 設・ 防 災 倉 庫 ・ 子 供 の 遊 び 場・ 休 憩 ス ペ ー ス と な る 茶 室 な ど を 入 れ 込 み 、 平 常 時 は コ ミ ュ ニ テ ィ 施 設 と し て、 災 害 時 に は 防 災 拠 点 と し て 機 能 す る よ う にしました。   設 計 の ダ イ ヤ グ ラ ム は、 図 の 通 り で す。 こ こ に 植 え る 樹 種 と し て は 、 直 根 性 で 深 根 性 の タ ブ ノ キ・ カ シ 類 を 考 え て い ま す 。 設 計 し た プ ラ ン は、 海 を 臨 め る こ と が で き、 木 々 の 中 を 階 段 で 上 っ て い く プ ラ ン と、 地 区 の 中 心 に 位 置 し、 ス ロ ー プで徐々に上っていくプランになりま す。   構 造 は、 メ ッ シ ュ 材 で 床 を 支 え る こ とにより荷重を分散させることで床ス ラ ブ を 薄 く、 支 え る 柱 を 少 な く し て い ます。 敷地に樹木をグリット上に植える →根が深く張り、液状化を抑える  効果が期待される 公民館などコミュニティ施設を 建てる L i ve w i t h Pl an t s 木々の根が建物の下も伸びることが できるようにするため、施設を上に 持ち上げる スロープ・階段でつなげる →災害時の高齢化対策として、高齢者も 日頃からを健康を意識できるプログラム とする 5

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阪神淡路大震災のリデザイン 復 興 デ ザ イ ン ス タジオ Re-Design from the Great Han shin Aw aji Earthquake  今年から開講されることとなった「復 興デザインスタジオ」と「復興デザイン 学」 。これらは、 「 減 災・ 復 興 実 践 学 」 復 興デザインコースの一環で、所定の単位 を満たすと修了証が発行されます。新た な取り組みの説明を窪田特任教授に伺 い、 そ の 中 心 に 位 置 す る 復 興 デ ザ イ ン ス タ ジ オ で の 各 班 の 成果をまとめます。 る 他 者 へ の 信 頼 や、 意 の ま ま に な ら な い 状況を想像する能力が喪失されていった のではない で し ょ う か 。こ う し た 事 態 は 、 明 確 に 害 と 位 置 づ け る べ き も の で す が、 自 ず と 生 じ て い る の で は な く、 誰 か が 生 み 出 し て い る の で す。 益 と 害 に つ い て の み な ら ず、 加 害 と 被 害 と い う 相 対 す る 行 為も空間的時間的に離れた場所で生じる という特徴 が あ る よ う に 思 え ま す 。  そういうことをぼんやりとしか思わず に 40 歳 代 半 ば ま で 生 き て き て 直 面 し た の が、 東 日 本 大 震 災 で し た。 そ れ は、 加 害 者 と し て の 自 分、 時 間 の 有 限 性、 人 間 の 孤 独 に 向 き 合 う こ と を 意 味 し ま し た。 こう言葉に書いてみると後ろ向きな感じ を 与 え る か も 知 れ ま せ ん が、 そ う い う こ と で は あ り ま せ ん。 復 興 デ ザ イ ン は、 思 索 の 継 続 を 要 求 し ま す。 そ れ が 救 い に な ります。ハイデッガーを正確に理解でき て い る と は 思 っ て い ま せ ん が、 『技術へ の問い』の楽観的な最後の一節を引いて おきたいと 思 い ま す 。 「われわれが危険に近づけば近づくほど、 それだけ救うものへの道は明るく光りは じめ、それだけいっそうわれわれはよく 問うように な る 。 」 ー 専 攻 横 断 型 教 育 プ ロ グ ラ ム「 減 災・ 復 興実践学」 復 興 デ ザ イ ン コ ー ス  そのような道としてデザインしたのが 「 復 興 デ ザ イ ン コ ー ス 」 で す。 最 も 重 要 な部分は「 復 興 デ ザ イ ン ス タ ジ オ 」と「 復 興 デ ザ イ ン 学 」 で す。 プ ロ グ ラ ム の 詳 細 は、 「復興デザイン研究体」のウェブサ イ ト に 掲 載 す る 予 定 で す が、 是 非 関 わ っ てください。 ー「 復 興 デ ザ イ ン 研 究 体 」 と「 地 域 デ ザ イン研究室」  建設系三専攻を中心とする社会連携講 座「 復 興 デ ザ イ ン 研 究 体 」 は、 こ う し た 教 育 プ ロ グ ラ ム を 重 視 し つ つ、 分 野 を 越 えた総合性を備えた復興デザインを追究 し、 現 場 で の 実 践 的 研 究 も 行 い ま す 。 そ の た め に は、 豊 か に 暮 ら し た い / 暮 ら し 続けたいという願望との多元的な価値の 統合も追究せねばなりません。 それが 「地 域デザイン研究室」の役割だと捉えてい ま す。 各 地 域 に つ い て の 固 有 な 理 解 を 積 み 重 ね つ つ、 地 域 / 地 域 デ ザ イ ン / 地 域 デ ザ イ ン 研 究 を 普 遍 的 に 捉 え ます 。 * ー課題内容   「 阪 神・ 淡 路 大 震 災 の 復 興 事 業 を リ デ ザインする」   3.11 が 起 き 、首 都 直 下 型 地 震が 予 想 さ れ る 今 日、 震 災 を 定 量 的 に 検 証 し 、 復 興 事業を評価することが必要です。震災か ら 20 年 が 経 ち 、 ま と ま っ た 検 証 が 可 能 な 阪 神・淡 路 大 震 災 を 分 析 対 象と し ま す 。 被災前 / 災害時 / 復興事業という三時点 における空間の変容過程を把握し、神戸 の現状に対してレジリエンスを高める方 向 性 を 提 示 し ま す。 建 設 系 3 専 攻 を 混 ぜ て構成された 3 チームそれぞれが、イン フラ (1 班 )/ 建築 (2 班 )/ 都市 (3 班 ) の テ ー マ を 持 ち、 神 戸 に 対 し て 3 ヶ 月 向 き 合 っ た 成 果 を 次 ペ ー ジ 以 降 に 掲 載 しま し た 。 ( 編 集 : M1 柄 澤 ) 窪田亜矢特任教授 復興デザインとは ー 自 分 に と っ て の 復興デザイン   工 学 の 学 徒 は、 社 会 に 役 立 つ 技 術 を 確 立したいと願っています。自分もその一 人 と 思 っ て い ま す。 し か し 状 況 は そ れ ほ ど単純であるはずもなく、現代の技術が 体系化されると特定の一面では効率的に 益を生み出すようになっても、別の一面 では何かが失われていく事態があること に気づきます。たとえば、膨大になった リスクとその隠蔽によって、社会におけ 6

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各班成果物 案 し ま し た。 特 に 「 第 2 公 営 」 は 住 み 替 え を 意 識 し、 個 人 属 性 に 応 じ て 住 み 替 え 先として望まれる立地や機能を考慮しま した。  1 班 は「Hub-Terminal こ の 提 案 は 、復 興 の 促 進 、市 街 地 で の 用 地 取 得 の 時 間 を 作 る こ と、 そ し て 郊 外 既 存公営の建物更新を抑えた縮退にも貢献 できると考えます。   さ ら に、 借 上 復 興 公 営 住 宅 で あ る キ ャ ナ ル タ ウ ン ウ エ ス ト を「 ハ ブ 」 と し た 場 合のケーススタディを行いました。入居 者 の 属 性、 借 上 げ 期 限 に 伴 う 住 み 替 え 状 況 や 周 辺 土 地 利 用 の 変 遷 の 分 析 を 基 に、 「単身男性高齢者」 「○○病院に通院中」 等 の 属 性 を 想 定 し、 属 性 ご と に 福 祉 施 設 や 病 院、 買 い 物 先 等 の 圏 域 の 重 な る 場 所 と そ こ に あ る 空 き 地 か ら、 望 ま れ る 「 第 2 公 営 」 の 立 地 を 提 案 し ま し た。 積 極 的 な施策内容までは踏み込めませんでし た が、 単 線 型・ 郊 外 大 量 供 給 の 復 興 公 営 住宅供給制度の問題点に対する一つの解 決案を形にできたのではないかと思いま す。 ( 執筆 : M1 羽野 ) H o u s i ng」 と し て 、 借 上 公 営 住 宅を活用した復興公営住宅供給 政策を提案しました。 阪神淡路大震災から導入され た借上げ公営住宅(民間の土地 を借りる公営住宅)は利便性の 高い市街地に立地でき早期復興 に 貢 献 し ま し た が、 現 在、 借 上 げ の 期 限 で あ る 20 年 が 迫 る 中 で退去に伴う住み替えが進まな いことが問題になっています。 こ れ を 踏 ま え 私 た ち は、 市 街 地における早期の復興を促進す るため借上げ公営住宅を 「ハブ」 として積極的に取り入れるこ ▲ Aさん ( 単身高齢者 et c) の「第2公営」立地圏域 と、 そ し て そ の 間 に 市 街 地 に、 住み 替 え や す い 立 地・機 能 を 備 えた タ ー ミ ナ ル と な る「 第 2 公 営」 を 建 設・提 供 す る こ と を 提 〜小さな住商工の風景が紡ぐこれからの 長田像とまちの形〜  元々この地区の生業であるモノ作りを き っ か け に 新 た な 人 々 を 誘 致 し 、DIY を 通して人々が再開発地区の空きテナン ト、 木 造 密 集 地 域 の 空 き 家 を 自 ら の 手 で 再 利 用 し て い く な か で、 新 た な 繋 が り を 重ねまちに貢献する機会を徐々に増やし ていくというスキームを考えました。問 題意識やコンセプトでは都市工学や社会 基 盤 に み ら れ る ス ケ ー ル で 解 き な が ら、 未来のイメージを見せるために模型や  新長田では復興再開発事業が地域を分 断し、また現在空きテナントや管理組運 営問題を生み出している。20年経った 今でも復興計画の影響が強く残っている こ の 地 区 で、 時 間 軸 を 通 し て 振 り 返 り、 この先の将来像を考えることが必要だと 考えました。 〜 ま ち な か の 小 さ な 操 作 の 重 な り か ら、 人 々 の 大 き な 重 な り を生む〜  1910 年 代 の 耕 地 整 理 事 業 か ら 地 区 の 盛衰と街の施設や街路の関係を見ていく 中で、複数の商店街が街の中心で囲み型 に 配 置 さ れ、 人 々 の 生 活 を 共 有 す る 場 が ( 執筆 : M1 福永 ) 7 存 在 し て い た こ と が、 多 様 な 人 々 を 包 容 するかつての下町らしさを生み出してい たと考えまし た。 ま た 商 業 の衰退や防災 といった問題 を地域全体で 共 有 し、 分 断 された地区を 跨いで解決し なければなら ないと考えま した。 パーススケッチにも力を入れることを意 識した提案になりました。

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生活を続けつつ復興していく提案を行っ た。 「空間の時限的な利用」の必要性は 用 途、 量 と も に 時 間 が 経 つ に つ れ て 変 化 し て い く。 複 数 の 利 用 を 一 つ の 土 地 で こ   「 公 共 空 間 は 誰 の も の か。 公 共 空 間 は どうしたらいい?」  神戸訪問の感想文をチーム内で共有し た。 建 築 学 科 の 彼 女 は 公 園 に 自 主 的 に 仮 設住宅を建てて生活していた人々を行政 が 追 い 出 す こ と に、 理 解 を 示 し つ つ 疑 問 を投げかけていた。   見 方 を 変 え る と、 こ れ は ど の よ う に 良 質な公共空間を生み出し活用していくか と い う 都 市 デ ザ イ ン の 問 い だ っ た。 「都 市」という大きなテーマ に 苦 し ん で い た が、 彼 女 の一言から都市の一側面 にフォーカスできた瞬間 だった。  災害は土地利用に劇的 な 変 化 を も た ら し、 場 合 によっては大きく都市の 形 を 変 え て い く。 そ の 変 化 の 過 程 は 複 雑 で、 大 規 模な災害からの復興過程 ▼ダイナミックな土地利用を適用した神戸の X 年後の姿   神 戸 の 実 例 か ら ど れ く ら い の「 空 間 の 時 限 的 利 用 」 が ど の よ う に 分 布 し、 ど の ような評価が下されていたかを時系列で 整理した。 そ の 上 で「 空 間 の 時 限 的 利 用 」 を 適 切 に 行 い な が ら、 住 み 慣 れ た 土 地 で     社 基 や 建 築 の 学 生、 先 生 方 や TA の 方 と密度の濃い議論ができた貴重な数か月 だった。 ( 執 筆 : M1 益 邑 ) では A から B へ移り変わる間に「空間の 時 限 的 利 用 」 が 実 は 必 要 な の だ。 そ の た めの空間を確保していくことは復興にお いて重要だ と 考 え た 。 な す よ う、 時 間 経 過 に 伴 い ダ イ ナ ミ ッ ク に土地利用を変化させていくことで、郊 外へ拡大せずに復興を成し遂げていくこ とができると考えた。 M1 : 柄 澤 薫 冬 スタジオを受講して   同 じ 建 設 系 3 専 攻 に も か か わ ら ず、 建 築・ 社 基・ 都 市 工 で は 着 眼 点 や バ ッ ク グ ラ ウ ン ド が 全 く 異 な り、 グ ル ー プ 内 で の 議 論 の 進 み が 読 め な い 分、 面 白 く も あ り 苦労も多かった。 現地調査の代わりに g o o g le ストリ ー トビューでは何故ダメなのか説明したことは今でも記 憶に残っている。ストリートビューでは確認すること し か で き ず 新 た な 発 見 は し に く い と 答 え た が、 現 地 見 学 に 行 き 、 よ う や くその重要さをわかってもらえた。   課 題 内 容 と し て は、 「誰のための復興なのか」 「行政 はどこまで対応するべきか」といった根本的な問題は 答えが出るものではないと今でも思っているが、答え が出ないなりに真面目に議論する時間がとれたことが ス タ ジ オ で 自 分 が 学 ん だ 一 番 大 き い も の だ と 思 う。 例 え ば 、 仮 設 住 宅 建 設 の 話 は、 住 民 視 点 で は で き る だ け 元 々 住 ん で い た と こ ろ の 近 く に 住 み た い と 思 う 一 方、 行政視点では、市街地の復興を迅速に進ませるために で き る だ け 郊 外 に 建 設 し た い と 考 え て お り、 基 本 的 な 対立に使える土地の制限や権利関係なども関係して結 論 が 出 せ な い 。 自 分 で は「 ま ぁ そ う だ よ ね 」 と 思 っ て し ま っ て い た 範 囲 で あ っ た の で、 一 度 き ち ん と 議 論 で き た こ の 経 験 を 大 切にしたい。 8 7 月のウェブ記事 さわらぼ、始めました。 地 域 と 西 村 先 生 、 西 村 幸 夫 町 並 み 塾 in 三 国 オランダ便り 星輝祭潜入、さわらぼと連動企画開催! 清水の温かさに触れた 2 日間。 アトリエワンとゆく神田学ツアー!! あの小藤田正夫さん、熱弁! 大槌プロジェクトのこれまで B a n gko k × To ky o I n t ern a tio n a l W o rksh o p 2 0 1 4 キ ッ ク オ フ ! 都市デザイン・地域デザイン研究室合同、学部4年生歓迎会開催!  是非ご覧下さい:h t t p : / / u d. t . u -t o k yo . a c . j p/ja /b l o g / 8 月の予定 7 8 8 8 8 8 月 月 月 月 月 月 30 日~ 8 月 3 日 1 日~ 10 日 7 日~ 11 日 14 日~ 17 日 2 1 日 3 0 日 L umb in i I S S C C h ula lo n gko rn U n i W S 三国現地調査 +WS 大槌現地調査 浦安現地調査 三国「帯のまち流し」 編集後記 柄澤 薫冬  二転三転申し訳ないですが、 月一回の発行を尊重し、 7 月号発行します。 しかしレイアウトを変えると意気込んでいたものの通常の編集業務すら 完璧には程遠く ... 先達の偉大さを実感しました。 今号も冊子形式ですが、 ぜひご意見ご感想頂けますと幸いです。久しぶりに涼しさの漂う夏空の もと、初編集とジュリーが終わった開放感そのままにどこかに飛び立ち たい気分ですが、とりあえずのビールと布団が待ちきれないです。

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