Book of DSI2012

 

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Description

DSI2012年度の本です

Popular Pages


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2011 年 3 月 11日 14 時 46 分、東日本大震災が発生。 日本を大きな揺れと津波が襲った。 あれから1年、復興の声が上がる中、私たちに何ができるのか。 この本はソーシャルデザインを学んだ美大生の記録である。 At 14:46 on 3 March, 2011, the earthquake hit Tohoku. Heaven and earth moved and Tsunami swept Japan. A year has passed, and everyone is searching for ways to rebuild Japan. What can we do to help? This book is a record of our projects from the Design for Social Innovation program. 宮城県 気仙沼市 KESENNUMA MIYAGI 津波によって流され、陸に打ち上げられた大型漁船「第 18 共徳丸」 。 “Kyotokumaru 18”, a gigantic fishing vessel washed ashore by the tsunami.

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宮城県 東松島市 HIGASHIMATSUSHIMA MIYAGI 仮設住宅の中を駆け回る子供たち。 Children running around temporary housings.

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岩手県 陸前高田市 RIKUZENTAKATA IWATE 大津波に遭いながら唯一耐え残った、高田松原の一本松。 A pine tree of Hope, the sole survivor of about 70,000 pine trees in Takata-Matsubara.

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宮城県 気仙沼市 KESENNUMA MIYAGI 島を離れるフェリーに向かって手を振る、津波の被害を受けた島の人々。 People of an island, who had been victims of tsunami, wave their hands towards the ferry leaving the island.

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東北からの声 Voices from Tohoku 中村靖治  いわき市在住フリーライター  Yasuharu Nakamura  Freelance Journalist from Iwaki City ペンキと学生とアイス  (アクアアートシップ P22-)    津波被害を受けた小名浜港で、東京から来た武蔵野美術大学の学生がアートで復興支援している—福島 県いわき市の地方紙に載った記事に心が躍った。早速、アイスクリームをお土産に会いに行った。  東日本大震災が発生して1年数カ月。地震、津波、原発事故、風評被害の4重苦に福島県民はなかなか 前を向けない状況が続く。津波被害を受けた沿岸部と内陸部の温度差。市内に避難し、賠償を受けている 原発周辺の自治体住民に対する風当たり等々。同じ土地で暮らしながら、立場の違いが日を追うごとに鮮 明化し復興の足かせになっていると感じる。  そんな中、閉塞した現状に入り込み共に立ち上がろうとする若者たちがいた。服にペンキをベタベタ付 けたまま、 屈託のない笑顔でアイスクリームをほおばる。 「漁師さんや近所の人もよく来てくれるんですよ」 。 芸術のことは正直よく分からない。しかし学生のいた空間は風通しが良く、訪れる人を笑顔にする力が宿っ ていた。 Paint, Students, and Ice Cream (Aqua Art Ship Project P22-)  I felt delighted when I found an article in the local newspaper of Fukushima’s Iwaki City; it reported that students from Musabi (Tokyo’s Musashino Art University) were helping with reconstruction, through art, at Onahama, one of the ports affected by the earthquake and tsunami. Immediately, I decided to go and see them, bringing ice cream as a small token of appreciation.  One year and several months have passed since the Great East Japan Earthquake. Facing quadruple suffering - the earthquake, the tsunami, the nuclear disaster and damage caused by unfounded rumors we, the residents of Fukushima Pref., still find it hard to have a positive attitude. There is a difference between tsunami victims on the coast and those inland. Residents from the autonomous communities in the evacuation areas around the Fukushima plant who are sheltering in the city and being awarded compensation have come under criticism. It seems to me that despite living on the same land, the differences in positions become clearer by the day, and stand in the way of reconstruction.  Then there were these young people, jumping right into this obstructed situation to stand in solidarity with us. Their clothes still splattered with paint, smiling without a care in the world, they dug into their ice cream. “The fishermen and other people in the neighborhood often come and see us, too,” they said. To be honest, I’m not well versed in art. However, I could see that the space in which they worked was accessible, and imbued with the power to bring a smile to the faces of 6 anyone who visits.

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佐藤尚美  WE ARE ONE ハウス 代表 Naomi Sato  WE ARE ONE HOUSE Representative 北上の道しるべ  (キタカミムサビ P34-)  彼女達5人に初めてお会いしたのが、確か、昨年の5月頃だったと記憶しています。きっかけは、知人 からのご紹介で、美術大学の学生さん達が、デザインやアートを通して、被災地へ何か支援出来ることは ないですか?とのお話しでした。彼女達が、まずはどんなことが出来るのか?会ってお話しだけ聞いてみ ようとのことでお会いしました。この限界集落地になりつつある北上には珍しい5人もの可愛い若い女性 達でしたので、印象はとても強く残っています。それをきっかけに交流が始まり、彼女達からいくつかの 提案があった後にカレンダーの提案があり、初めてそこにピン!と来た気がしましたね(笑)北上の震災 前の風景がただただ懐かしく、それに当時の現実と残酷な悲しみ、北上の蘇りに飢えていた私達の思いが、 ちょっとだけ彼女達と私達とを線で結んだ瞬間だった気がします。  そこからの彼女達の動きは、こちらがついていけないほど早いもので、何度か、そこは学生と社会人と の感覚のずれだったり、こちらの生活の現状や事情だったりとの中で、厳しいことも言ったと思います。 それでも、彼女達はモチベーションを下げることなく、挑戦を続けてくれました。最終的に今年の1月、 カレンダーが完成し、ここにあの北上が本当にはっきりと蘇りました。彼女達の作品は、今は色のない町 と化したこの北上に、美しい沢山の色を添えた風景の絵です。これを学生さんが描いたということにも驚 きましたし、あまりに忠実に蘇った風景に切なさと愛おしさ、それ以上に、嬉しく懐かしい感動がありま した。本来の北上には、こんなに “ 色 ” があったのですね。暮らしの中には、気付かないうちに沢山の色が あふれていて、月明かり、夕暮れ、それらでさえこんなに綺麗な色があったんだということを、このカレ ンダーを見て思いました。彼女達が、 住民とここで直接交流し、 聞き話し関わったからこそ再現出来た “ 色 ” です。彼女達の作品、アートが私達に届けてくれたもの。彼女達との出会いも含めて、私達の心と町に鮮 やかで綺麗な “ 本来の色 ” をもう一度添えてくれたこと。また、この作品を見た住民が、一瞬でも北上の本 来の姿にそれぞれの思いをのせて、それは無意識のうちに北上の未来の姿、再生すべき姿の想像の原点に なるということ。彼女達のカレンダーは、ただのカレンダーではなく、北上の道しるべとなるものだと思 います。皆さんの沢山のご苦労とこの活動に、本当に感謝致します。  最後になりましたが、彼女達の活動を影で支えて下さった武蔵野美術大学の先生方、このカレンダープ ロジェクトに関わってくれた多くの皆様にも本当に心から感謝致します。 Guidepost for Kitakami (Kitakami-Musabi project P34-)  I recall that it was around May of last year when I first met these five students. One of my acquaintances had asked me if there was anything that art students could do for us earthquake victims through design or art. I planned to meet them just to hear what they had to say. Because it was uncommon for younger people to visit Kitakami, a depopulated area in danger of dying out because more than half of the people living there are over the age of 65, I clearly remember the occasion. This was the beginning of the interaction, and when they came up with the calendar idea, it struck me immediately as the perfect thing. (Laughs.) In that instant, we, who simply terribly missed the landscape of pre-disaster Kitakami, and who felt the reality and cruel sorrow, who hungered for the resurrection of Kitakami, were directly connected with those students.  The young women proceeded so quickly that it seemed we couldn’t keep up, and several times during the production process, I’m afraid we made harsh comments, either because of differences in the perception of young people and adults, or because of the actual circumstances and conditions we the victims faced. Nevertheless, their motivation remained strong and they continued with their project.  Finally, in January this year, the calendar came out, and there was our beloved Kitakami, truly and vividly restored. Their creation is a rendering of landscapes filled with copious beautiful colors, brightening the colorless grey Kitakami of today. I was surprised that students had accomplished this fine work, and at the same time, and beyond this, felt both the pain and this fine work was done by students, and at the same time, the landscapes of Kitakami were brought to life in their work, bringing both pain and sweetness, but more than that, they moved me so much that I could not help feeling happy and nostalgic at the same time. Kitakami used to have all these colors, I realized. Looking at this calendar, I thought, our everyday lives overflow with so many colors; I realized that such beautiful colors flow in twilight, and in moonlight. These colors would never have returned if it weren’t for these students visiting with and listening to the people and directly engaging with their stories. These students’ work, their art, has comforted us. Our town and our hearts are accompanied once again by the bright, beautiful colors of Kitakami. If, even for a moment, people of Kitakami, seeing this work, can fill the present manifestation or form of Kitakami with their own ideas, unconsciously, this will serve as the origin of an imagining of a future form for Kitakami, the way it should be. These students’ calendar is more than just a calendar; I believe it will function as a guidepost for Kitakami. I am truly grateful for everyone’s hard work and this project. Finally, I want to thank from the bottom of my heart the teachers of Musashino Art University who stood behind these students and everyone who was involved in this calendar project. 7

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川端秀明  一般社団法人みんなのとしょかん代表理事 Hideaki Kawabata  Representative, General Incorporated Association Libraries for Everyone 「宝」の創出  (むさひまプロジェクト P58-)  現在の東北では、各地域による様々な取り組みが行われています。彼らの向上意欲は高く、何より一人 ではなく「みんな」で物事を為し得ようとする姿勢はとても素晴らしいものです。今回の震災により、地 域コミュニティは大きなダメージを受けたものの、地域に根付く互助、共助の精神が下支えとなり、少し ずつその姿を取り戻しつつあります。しかし、地域が復興に向かう中において、地域の個性の創出による、 経済、精神両面での自立というものが喫緊の課題となっていますが、今の被災地には時代に適応した物を 創作しようとする際、 素材となる情報や、 製作のプロセスといったノウハウが不足している事は否めません。  そんな中、むさひまプロジェクトさんの取り組みは、単に商品のアイディアを提供することに留まらず、 地域に眠っている物や文化財に再び光を当て、その地域だからこそ生み出すことが出来る「宝」の創出を 提案しています。この一連の取り組みを体系化することで、地域に個性と自信を創出でき、私たちが取り 組んでいる新しいコミュニティの醸成にとても大きな意味を為すものと大変期待をしています。皆さまの 取り組みに心から感謝申し上げます。 内海聡子  ひまわりコミュニティ副会長/ひまわり集会所代表  Satoko Utsumi  Vice President, Himawari Community / Representative, Himawari Community Place 夢は見るものではなく叶えるもの  (むさひまプロジェクト P58-)  あの日あの時、千年に一度と言われる未曾有の大地震と津波を経験し、いくつもの奇跡的な偶然が重なっ たおかげで命を今につなぐことが出来た私達。その後何とも言い尽くせぬ苦悩と苦痛の日々を重ねながら、 自分の居場所を求め 2011 年 5 月はじめ、ここグリーンタウン仮設住宅に住む事が出来ました。しかしこ れも抽選に当たればこそのことで、人によっては何か月待ちという方もあったのです。ともあれ仮設住宅 に入れたことにより、心が軽くなったのは確かな事です。気兼ねなく寝れる、気兼ねなく食事が出来る、 気兼ねなく風呂トイレが使える。ただそれだけのことが・・・人間として当たり前だと思うことが、とて もとてもこの上ない喜びでした。  しかしそれだけでは生きているとは言えません、人には希望が必要です。希望があれば生きていく力に なります。この仮設に入ってほっとしたものの先が見えず、苦悩と苦痛の日々は変わりません。皆で集ま れて共に励まし合い、 共に助けあい、 共に支え合って明日に向かう力を養うことの出来る場所があったら ・ ・・ 「それなら、そんな場所を作ろう」と、まず自分の周りにいた方からつぎつぎに声掛けをし、少しずつ本当 に少しずつですが集会所に足を運んで頂けるようになりました。同集会所内に図書館を支援して頂いたこ とをきっかけとして、集会所としての活動が本格的に始まり、その頃に咲いていたひまわりの凛とした強 さにあやかり、 「ひまわり集会所」とネーミングし現在に至ります。皆様に足を運んで頂くためには、いつ でも集会所が開館している事、その事に目標をしぼり始めた訳です。そうする事で支援団体の方たち、ボ ランティアの皆様とつながる事も出来、ここひまわり集会所もたくさんの方々の支援を受けることとなり その支援はそのまま広く薄くコミュニティ住人の元へ届き、とても理想的だと思っています。  そのような中で武蔵野美術大学の学生の皆様と知り合う事が出来、何度もお会いし、私達住人への熱い 気持ちも知り、むさひまプロジェクトが立ち上がりました。おばさんである私達から見れば娘もしくは孫 のような存在の学生の方々です。手厳しいおばさんの意見によく耳を傾けて頂いて、とっても素敵な作品 が完成しました。 「しし福宝箱」です。ここ東松島大曲地区の浜に大昔から伝わる「獅子ふり」をモチー フにし、ひまわり集会所のロゴマークのひまわり模様をさりげなく取り入れ、愛らしくもちょっぴり厳し い顔をしていて、強い運と幸福をもたらす、そんな宝箱です。ここ東松島市グリーンタウンから宮城県へ、 そして東北全域へ、日本全国へ、世界へと広がっていき、強運と幸福をお届けする宝箱に私達住人の夢と 希望をたくさん詰め込んでお届けする日が一日も早く来ることを願っております。   「夢は見るものではなく叶えるもの」  誰の言葉なのかは知らないけど、確かにその通りと大学生の皆様 に教えて頂きました。ありがとう。出会えたことに、心より感謝申し上げます。 The creation of treasures (Musa Hima project P58-)  In Tohoku today, there are various kinds of operations underway that differ from region to region. People from Tohoku have a very high will to improve, and the way they’re poised to try to reach a desired goal not by one, but by all, is really magnificent. Supported by the spirit of mutual aid and cooperation that has been rooted in the regions for generations, the regional communities desperately damaged by the disaster are gradually beginning to be restored to their original forms. As the regions work towards reconstruction, an urgent issue is the independence of economy and spirit that will result from the creation of each region’s individuality. However, it cannot be denied that those in the affected areas working to make things that meet the needs of the times lack both the information and understanding of the manufacturing process that they need.  Under such circumstances, the initiative of the Musa Hima project not only serves to provide ideas for products, but also shines light anew on thus far uncultivated regional objects and cultural resources, and proposes the creation of treasures that are produced precisely because of regional identities. We have great expectations that, by systemizing this series of initiatives, we’ll be able to generate regional individuality and self-reliance, and establish the significance of creating new communities in this manner. I wish to express deep gratitude for the work of all of the participants. 8

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“A dream is just a dream; you should make your dreams come true.” (Musa Hima project P58-)  That fateful time, that fateful day, the biggest earthquake ever recorded in Japan hit our area, triggering one of the most destructive tsunamis in a thousand years. Thanks to a great number of miraculous coincidences, we have managed to survive to this day. Since the disaster, grappling day after day with agony and suffering beyond description, I had been looking for shelter for myself. In the beginning of May in 2011, I finally found a place to settle: Green Town Temporary Housing (for earthquake victims). Housing was by lottery only, and others had to wait for several more months for the opportunity to shelter in temporary housing. In any case, I was able to shelter in Green Town, and I feel my burden easing; now I can sleep, eat and use the bathroom without feeling constraint or hesitation. Nothing pleased me more than feeling at home doing these simple things, things we take for granted.  But this alone is not living; we need hope. Hope gives us the energy to live. Although I felt comfortable and relieved when I started living here, I still felt distressed and pained because I couldn’t envision the future. I wished for a place where victims could gather and encourage, help and support one another, as we redeveloped our enthusiasm for living for tomorrow. So I decided to help create such a place. I called the nearby tenants to meet one another, and they gradually came to visit the community space, their numbers growing steadily. It was the setting up of a library that triggered full-swing activities. We named the space “Himawari Shukaijyo (Sunflower Community Space)” after the dignified vigor of the sunflowers that were in full bloom at the time. We continue to use this name. To get people to visit, we focused on one thing; keeping our community space open all day. Our effort has paid off and I think the approach we have taken is very idealistic, because it has enabled us to hold close bonds with supporting bodies and volunteers and to have support from a great number of people, leading to the assistance of community residents in both simple and fundamental ways.  We became acquainted with students from Musashino Art University (Musabi), whom we met many times and became aware of their passion and empathy for us, leading to the undertaking of the students’ Musa Hima project. These students are young enough to be our daughters, sons or grandchildren. And yet they listened carefully and patiently to the harsh comments of the older women at Himawari and created a magnificent piece, called “Shishi-fuku Box”.(Shishi-Furi is a traditional dance done with a lion’s mask, and fuku means good fortune.)This treasure box, graced by a subdued Himawari Community Space logo, carries a lovely but slightly obstinate face, 9 based on the motif of the “Shishi-Furi”: traditionally performed and transmitted through the ages in the Omagari district of Tohoku’s Eastern Matsushima. This face seems to assure us a future happiness and good fortune. We look forward to the earliest delivery of this creation: a symbol of happiness and good fortune, packed densely with our dreams and hopes, extending from Green Town throughout Miyagi Pref., next encompassing the entire Tohoku region, and then spreading out across the whole country and outward to the rest of world.  “A dream is just a dream; you should make your dreams come true.” I don’t know to whom these words are attributed, but the Musabi students taught us their truth. Thank you. We appreciate very much the blessing of meeting you all.

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目次 Table of Contents 2 東日本大震災 6 東北からの声 11 授業の趣旨 12 Design for Social Innovation 2012 授業プログラム 14 DOCAN 2 6 The Great East Japan Earthquake Voices from Tohoku 11 Introduction 12 Program of the Design for Social Innovation 2012 14 DOCAN 20 4 projects in Tohoku 22 Aqua Art Ship in Onahama 34 Kitakami-Musabi in Kitakami 46 THE KIMPRO in Miyagi 58 Musa Hima Project in Higashi-Matsushima 70 World Design Summer Camp 2012 in Hong Kong 74 Members 76 Instructors•Advisers 78 Epilogue 20 東北での4つのプロジェクト 22 アクアアートシップ in 小名浜 34 キタカミムサビ in 北上 46 キムプロ in 宮城 58 むさひまプロジェクト in 東松島 70 World Design Summer Camp 2012 in 香港 74 メンバー 76 授業講師・アドバイザー 78 あとがき 10

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授業の趣旨 Introduction パラダイム・シフト デザイン・フォー・ソーシャル・イノベーション—新統合デザインプログラム キュー・ジュリヤ 武蔵野美術大学教授  デザイナーが社会から期待されるものは、企業の生産活動の最終段階における形の創造から、社会 そのものを変える新しい創造力へと変わりつつある。本授業ではこのような社会の要請に答えるために 「ソーシャルイノベーション」をテーマに掲げ、次世代のクリエイターとしての能力を育成し獲得する ために、従来のデザイン領域の区分を取り払い、諸領域を含め横断的な統合デザインプロジェクトを 進めて行く。  履修者は実社会におけるクリエイティブな課題解決を実現して行く中で、国際的なデザイナーとして の創造性、コミュニケーション能力、ビジネスセンスを獲得することが必要とされる。そのため本授業 では、アイデアの提案にとどまらず現場での実施までを行い、そのフィードバックをもとによりよい デザインを行っていくことが求められる。  2011 年 3 月 11 日に発生した東日本大震災。日本のような先進国がこの規模の惨劇を乗り越えよう とするのは人類初の挑戦であり、まったく新しい発想が復興の糸口となって行く中で、デザイン的思考 はその一端を担うことになるであろう。  この信念に基づき、新しい授業では「統合デザインが震災後の日本の復興に対してできること」に、 学生たちの創造力を発揮する方法を大胆にも試みている。その中で、学生たち自身も変化しながら、 新しい未来の姿を見出そうとしている。 到達目標 ・社会問題の創造的な解決方法をデザインし、実施する中で、諸領域を含め横断的に統合されたデザイン   を学ぶ。 ・各デザインプロセスにおいて国内外の専門家を交え、現場見学を通じて現場感覚を学ぶ中で、デザイ    ンリサーチから社会実践までのすべての過程を実践する。 ・国際機関や学外の産 官 学協力者などを見つけだし、統合デザインを実社会において実施、実現する。 ・ ・ ・授業成果の国際発表を目標に、海外で発信する。 Goals Participants will learn interdisciplinary design strategy through creative solutions for social problems. From design research to implementation of projects, professional designers from all genres and experts from non-design disciplines are invited to work with the students. Each project will be developed and executed through partnerships outside of the academic realms, as well as international organizations. Participants will present their projects outside of Japan. 11 Paradigm Shift Design for Social Innovation - a new interdisciplinary program by Julia CHIU, Professor, Musashino Art University  Nowadays, designers’ responsibility in the society have shifted, from just being a role committing in the final step of the commercial production process, to a new creative energy capable enough to change our society. In order to meet this paradigm shift, there is an urgent need for current design education system to transform itself and provide new visions and develop new programs.  Under the theme of “Social Innovations” this new program aims to develop the creative skills of the future generation through interdisciplinary design solutions that could be applied to real problems. The goal is for the upcoming creators in Japan to develop communication and business skills and to learn how to work with the international community. Students are asked to realize not only physical productions, but to propose a creative solution in the social system. Throughout the program, they are also required to go out to the real world where they will work as a team to research, design and realize a public research project.  On March 11th, 2011, a massive earthquake and Tsunami devastated the Tohoku-Pacific region of Japan. As this is the first time in human history for a developed industrialized nation to learn how to transcend itself to cope with this atrocity, the rebuilding process will require innovations unforeseen in modern civilization. Design-thinking could play an important part in this.  It is with this conviction that students in this new interdisciplinary program are boldly experimenting how to apply their creative skills in “what design-thinking can do for the rebuilding of Japan”. In doing so, they are transforming themselves to redefine our future.

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授業プログラム Program 「デザインの力で社会を変えたい」そんな思 いを持って集まったDSI Design for Social ( Innovation) クラスのメンバーたち。前年か ら続くテーマ「震災復興」と、どう関わっ ていけばいいのか、はじめは全く手探り の状態でした。 「まずは行ってみなければ 始まらない!」と現地へ向かうと、そこに は想像を超えた現状と、たくさんの予期せ ぬ出会いがあったのでした。そこから自分た ちができることを見つけ、多くの方々に支 えられながら一からプロジェクトをつく り上げていきました。不安で一杯の4月か ら、プロジェクトがひとつの完成をみせる まで、まさに激動の1年間でした。 We, the students of DSI class, wanted to change our society with our design skill, but we felt it was really difficult to deal with the theme “Rebuilding of Tohoku” in the beginning, because we did not know much about the place, so we went to the stricken areas for research. There we found tragic conditions beyond our imagination as well as wonderful encounters. After this experience, we identified projects that we could do for Tohoku and accomplished our projects with help from many people. This has been a tumultuous year for us - we were full of anxiety at the beginning, but reached our goals in the end. 12 東北での活動 Activities in Tohoku 学外での活動 Off-campus Activities 東北でのヒアリング 現地で必要とされている事は何かを探り、 そのために自分たちにできる事は何か考え る。 Field-research in the disaster-stricken area in Tohoku. We identified the needs of Tohoku. 東北でのヒアリング Researches in Tohoku 授業スタート ソーシャルデザインとは何か?を 学ぶ。今年のプロジェクトの対象 を東北に決める。 At the start of this class, we studied about “design for social innovation”. We set the target for our project this year on Tohoku. クラスのウェブサイトを制作 ( P14- ) 「DOCAN」という世界中のソーシャル デザインの事例を紹介したサイトを 全員で制作。 We made a website “DOCAN” that introduces case studies of social design from around the world. プロジェクトの立ち上げ 現地でのヒアリングや 情報収集などにより 各グループプロジェクトを 立ち上げる。 Each group initiated a project, based on field-research. 学内での活動 Campus Activities ソーシャルデザインについて学ぶ Study about social design プロジェクトの立ち上げ Project Launch プロジェクトの実施 ( P18-)  クラスのウェブサイト『DOCAN』( P14- ) の制作 [ 通年 ] Work on “DOCAN” website (through the year) 東北でのヒアリング                   World Design Summer Camp ( P64- )

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アクアアートシップ ( P22- ) Aqua Art Ship project キタカミムサビ ( P34- ) Kitakami-Musabi project プロジェクトの実施 ( P20- ) 各グループごとにプロジェクトを進める。 必要に応じて協力者やアドバイザーを見つける。 Implementation of projects Identifying partners and advisers for each project. キムプロ ( P46- ) THE KIMPRO むさひまプロジェクト ( P58- ) Musa Hima project       Implementing the project 協力者・アドバイザーを見つける ( P76- ) Finding advisers and supporters 学内展示発表 Campus Exhibition 学内展示発表 成果物や結果を発表する。 Researches in Tohoku PechaKucha Night 東北への報告 Report to TOHOKU PechaKucha Night          (以降、各グループ必要に応じて)   Present the results and products. PechaKucha Night 出演 六本木の Super Deluxe にて行われているデザ イナーやクリエイターによるプレゼンテーショ ンイベントに、プレゼンテーターとして参加。 We presented our projects at “PechaKucha Night”, an event for young designers to network, and show their work. 13

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DO it and you CAN make it happen for Japan and the world docan.jp 「ソーシャルデザイン」を知る、学ぶ。あなたの動くきっかけになるウェブサイト。 DOCAN is a website to inspire you to make actions through knowing and learning about Social Design. Project Name DOCAN Terms 2011.04-present URL docan.jp 14

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STRUCTURE TOP WHAT IS DOCAN わたしたちについて WHAT WE DO  進行中のプロジェクト IDEA SOURCE デザインの事例紹介 DOCAN の目的と使い方 メンバー紹介 DOCAN は Design for Social Innovation クラスのプロジェクト紹介 と、ソーシャルデザインを広めることを目的としたウェブサイト。 ソーシャルデザインを学ぶ私たちの活動について紹介しています。 DOCAN is a website for “Design for Social Innovation” class, to introduce our projects to the world. Purpose of DOCAN Introduction 2011 プロジェクト 2012 プロジェクト 参加イベント ソーシャルデザイン事例 解説マンガ 2011 Projects 2012 Projects Events we participanted in   Examples of SOCIAL DESIGN Explanations using cartoons  15

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