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tomita

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T H E E V E R Y D A Y V I E W F R O M S C H O O L

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座談会、修論発表を終えて The Round-Table Talk After Finishing the Presentation of Master Thesis.  去る 2 月 1 日、2 日に修士2年の 7 名が修論発表に臨みました。今回は座談会形式で、今川・髙橋・滝澤・中島の 4 名に修論発表を終え ておよそ 2 週間経った今の心境や、研究生活について振り返っていただきました。 (編集:M1 富田) ■修論発表を終えて ―簡単に一言で言えば、修士論文終わって どうでしたか? 髙橋:漢字一文字で。 滝澤:おれめっちゃ楽 ( 笑 ) 中島: 「食」でしょ? 滝澤: 「食」です。 髙橋:そういうことじゃないでしょ ( 笑 ) 滝澤:そういうことではないのね。 髙橋:達成感を一文字で表す ? 滝澤:達成感一文字で表すって難しくない? 髙橋: 「苦」とか、そういう感じ? 浜田:、そういう感じです。漢字一文字じゃ なくてもいいです。 今川:なんだろ、難しいな。終わったけど 終わらんなあ、みたいな。 髙橋:いやほんとに、終わったけど梗概ま だあるもん。 滝澤:まあ、来年もう一回出すしね。一応、 形上は。 中島:変えないの? 滝澤:もちろん、修正を加えて出す。提出 から発表までの内容は勿論変わってるから、 その内容反映させたくらいの変更は絶対す ると思う。それ以上変えるかはちょっとわ からんけど。 浜田:いつ終わるんですかね。 髙橋:早く終わりたいね。 中島:いつ終わるんだろうね。 滝澤:だって修論の最後に「今後の課題」 と書いちゃってる時点で終わらないってこ とを示してるよね。 髙橋:そういう意味では終わらないかもし れない。 浜田:達成感のようなものを感じられる瞬 間はありますか? 髙橋:発表翌日はほんとに達成感があった。 その勢いで 10 日ぐらい遊びまくった結果、 今梗概がなんにもほとんど手がついていな い状況。意外と締め切りまでそんなに時間 がないんじゃないかってことで、今すごい 嫌な気持ち。 滝澤:すごく分かる。提出終わってさ、中 ボス倒して、発表終わってラスボス倒した と思ったらまだ裏ボスがいたみたいな感じ やんな。 今川:しかも本だと永久に残るからね。 中島:おれは発表終わってもそんなに終わっ た感じがしなくて。いや、なんかこう消化 不良な感じだけが残るみたいな、そういう 感じ。終わったときは追加調査しようと思っ ていたけど、そっか、発表が終わってから 18 日が過ぎてしまったのか、って簡単に言 うと、そういう感じです。 今川:なんだろうね。でも絶対こう「完成 だー!」みたいな感じにはならない。どっ かで妥協しなきゃいけなくて。残りの課題 をはっきり書いてすっきりすればいいのか なあ。到達点をどこに設定するのか。 2

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修士論文概要の紹介 ! After Finishing the Presentation of Master Thesis 今川高嶺 遠郊外ニュータウン・あすみが丘における都市像の変容に関する研究 −周辺地域との関係性に着目して− 概要  遠郊外に位置するニュータウンの今後の方向性に対する 示唆を得ることを目的に、その都市像の変容と要因・プロ セスを周辺地域との関係性に着目して研究を行った。あす みが丘は、遠郊外ニュータウンの中でも周囲に市街化調整 区域が広がる地域であったが、ニュータウンの設計はその 内部で完結した都市像に基づいてた。しかし、その後の住 民活動では、周辺地域とニュータウンが一体となった都市 像の基、両地域の資源・課題を共有しながら今後の在り方 を模索するような動きが見られ、都市像が変容しつつある ことが明らかになった。 周辺地域とニュータウンを結ぶ、土気サタデーマーケット 修士論文を終えて  ニュータウンの造成が終わって、大規模な空間形成も少 なくなってきている現在、都市を作る担い手は開発事業者 から住民団体に移ってきているように思います。個々の住 民団体の活動の背後にある意図や、そのことが意味するこ とを注意深く考えて、都市全体が今どのように変容しつつ あるのか、変容を望まれているのかを考えることはとても 難しいですが、意義があり、そして面白いのではないかな と考えています。 渋谷政秀 築地場外市場の地域アイデンティティの変遷に関する研究:関係主体の恊働に着目して 概要  2016 年に移転予定の築地市場に隣接する、築地場外市 場の近年のまちづくりを対象とした事例研究。築地市場移 転を機に築地市場と共に担ってきた「卸のまち」としての 歴史に地域のアイデンティティを見出し、それを軸として まちづくりを展開していったのが近年の動きであったが、 本研究ではその実態と成立要因、そして事例の特徴と言え る地域アイデンティティの変遷とその変化の要因の解明を 行った。最後に、そこから得られた知見を元に商業地域に おけるまちづくりや、地域アイデンティティがまちづくり においてもつ意義について考察した。 築地市場と場外市場が一緒にある最後の年末 修士論文を終えて  他の人もそうかもしれないけれど、問題意識がまずあっ たわけではなく「何がテーマになるのか分からないがこの 事例を対象に論文を書きたい」 ということから入ったため、 切り口の設定に最後まで苦労しました。でもそうした当初 の思いが、しんどい時でも進むモチベーションになったと 思います。研究を通じて定性分析の面白さに触れられたこ と、そして普段話を聞けないような方々にお話を伺えたこ とで、多くを学ぶことができました。 3

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研究室会議を大事にしてくださいということですね。 一年間ほんとに短いからね。 ■研究テーマはこうして決まった ―研究テーマを決めるに至ったプロセスや、 この人のこの一言で決めました、といった エピソードがあれば教えてください。 髙橋:たっきーとかさ、研究テーマ大きく 変わってないよね。 滝澤:そうね。 中島 : 今川さんも、全然変わっていないよね。 今川:そうだね。俺は、遠郊外のニュータ ウンやりたいって所はずっと変わってない んだけど、それでもやっぱりちょっとずつ 見えない所で変わっていったり、細部が詰 められていったみたいな感じ。どんどん肉 がついていくようなテーマの決め方だった 気がします。 中島:まあなんかあれだよね、修論ゼミで 先生に色々言われて変わるんだけど、多分 最後、戻ったよね。 一同 :( 笑 ) 中島:最初にやりたかったことが少しずつ 明確になって、戻るみたいなね。 今川:確かにね。 中島:多分たっきーもそうなんじゃないか なって気がするけど。 滝澤:もともと食べるのが好きで、旅行に 行ったら必ずその土地のおいしいものを食 べる。そこに人が暮らしている限り、絶対 食っていう文化はあって、やっぱりそこに 地域性みたいなものが出てるんじゃないか なっていうのは思っていて。それを研究テー マとしてやるのはどうすればいいのかなと 考えていた中で、西村先生が食と景観とか の話はこういうのがあるよって教えてくれ た。それで、食と景観のように互いに関わっ ている要素とかあるのかなって考えたとき に、ツーリズムやいろいろ地域ブランドみ たいなものがあるんじゃないかなと思い、 そこからいろんな文献とか漁って、ちょっ とずつ補強してったっていう、そういう感 じかな。 浜田:最初にやりたいテーマがあって、そ れに関しての情報を集めていった。 滝澤:そう。とにかく食、みたいな。 今川:確かにそうだよね。やりたいことは 明確だと思っていたけど、研究室会議のた びに「本当にそれがやりたいの ?」って揺さ ぶられて、そこに自分なりに答えていきな がらやってきたが、確かに最終的に最初に やりたかったことに戻った。 中島:たかしゅんは ? ちょっとずつ変わっ ていったと思うが。 髙橋:もともと学部時からの関心で都市計 画史の研究をしようと思っていた。それで、 一年生の学年末ジュリー前の研究室会議で、 西村先生から徳島の建物疎開の話を聞いて 面白そうだと思い、関係資料を調べてみる と疎開について意外とまだ分かっていない ことがポロポロ出てきた。当時の関心は非 戦災都市の戦後の都市計画事業という非常 にざっくりした所にあったが、これを機に 疎開というテーマへ関心が定まっていった。 以降細かい箇所はだいぶ変わっているけど、 結果的に非戦災都市の疎開がテーマとなっ たのはこの頃考えていたことがスタートに なっていると思う。 髙橋:方向性が見えたというより、ざっく りとしたテーマが決まったかなあくらい。 M2 に入るとすぐに就活が本格的に始まっ て、時間がちゃんととりにくくなる。そう いう意味でも M1 が終わる段階で章立てま では決まっていなくても、ざっくりとした テーマくらいは決まっていた方がいい。 中島:根幹になる部分が決まっていないと 結局、研究室会議でその場しのぎになって 全然深まる方向にいかないと思う。 髙橋:それとか、1 回 1 回の研究室会議に 向けて自分自身で小さな目標を設けて前進 できるような進め方が理想なんでしょうね。 滝澤:結局、自分のなかである程度は進ん でいても他人からのフィードバックをもら わないと何やっていいか分からなくなる。 そういう意味でも研究室会議を挟むとまた 新たな方向性が見つかると思う。 中島:研究室会議を大事にしてくださいと いうことですね。一年間ほんとに短いから ね。 浜田:重い言葉ですね・・。 富田:今川さんはどうですか。 今川:僕も M1 が終わる頃にはテーマはあ る程度決まっていてたが、M2 の 10 月くら いに、研究の切り口とか手法がようやく分 かってきて、その方向で研究を進められた。 14 号館 1 階のロビーにて 中島:M1 のときはそんなにやりたいことも なくて、渋谷プロジェクトでやっているこ とを研究室会議で発表していた。だけどこ れでは研究としては難しいなと思っていた 中、縁あって横張研の人たちとランドスケー プ研究の編集に関わり、そのつながりもあっ て都市計画学会誌の編集に誘われたりして、 そんな流れから、3 月くらいにはテーマ自体 はざっくりと決めた。決めてからは事例調 査と枠組みつくりを並行しつつ、調査する 上でどういう切り口がよいかを考えながら 徐々に進めていった。 浜田:やっていた活動の中から方向性を決 めていったということですか? 中島:成り行きで研究テーマが決まっていっ た感は強いんだけど、最終的には自分しか できないようなテーマを出来た気がする。 ―M1 が終わるタイミングで方向性は大体 見えてきたのですか? 4 逆に言えばそこが分かんないとなかなか進

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高橋舜 非戦災地方都市における建物疎開跡地の整備と継承に関する研究 −生産都市再建整備事業に着目して− 概要  W.W.II 末期に実施された建物疎開の跡地について新たな 一次資料のレビューを中心に整備事業 ( 生産都市再建整備 事業 ) の実態を明らかにしながら、疎開前後の法定都市計 画との関係性について分析を行った。資料レビューから 3 都市を抽出して事例研究を行い、 戦前期の都市計画と疎開、 整備事業の関係を明らかにした。 さらに整備路線について、 現在の都市計画道路網に至る継承性に着目し事業後から現 在に至るまでの計画的変遷を探った。この結果、整備事業 時の計画的位置付けと現在の状況の間に一定の相関が認め られた。なお、現地調査からは整備路線に共通する空間的 特徴を明らかにした。 富山県立公文書館に所蔵されている疎開関係資料 修士論文を終えて  何になるのか自分でもよく分からない資料を 1 ページ 1 ページ撮影していくという今考えても気が遠くなる作業を 夏の間にできたことが、発表までこぎつけることができた 理由かなと思っています。 「無駄を惜しまずにやれること は全部やってみる」という、ある意味で都市デザイン研の 血肉ともいえる経験を、研究で一通りできたことが、今回 の研究を通じて得ることができた 1 番の大きな果実です。 滝澤暢之 地域ブランドおよびツーリズムと地域景観との食を媒介とした相互関係性に関する研究 概要  人間の生活に不可欠な食は地域ブランドの構成要素であ るとともにツーリズムの動機や目的となる地域資源であ り、暮らしや生業を通じて地域景観とも密接な関わりを持 つ。本研究では地域ブランド、ツーリズム、景観や生業が 食を媒介としてどのように相互に結びついているかについ て文献や既往研究から俯瞰的な概念図として導き、国内外 の制度比較やテロワール食品間の特徴比較、フランスや日 本における4事例のケーススタディを通じて食と各要素の 相互関係性が地域の活性化や景観保全に結びついていく仕 組みやそのポイントについて分析する。 宇治茶最大の産地・京都府和束町の生業景観 修士論文を終えて  最初は食で地域活性化をしている事例に興味があったん ですが、西村先生から食と景観の繋がりについてアドバイ スを戴いたのが決め手になりました。 B4 時代卒業設計だっ たこともあり初めての論文に戸惑いもありましたが、自分 の関心ある分野の知識をより深められたのは純粋に楽し かったです。テーマが漠然としていてももっと早い時期か ら色んな文献を読んだりあちこち足を運んでいたらより深 められたのかなというのが反省点。 5

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テーマが決まっていないうちって深堀するのは無駄になるかもって感じることはある。 でも逆に一回突っ込まないと何も見えてこない。 まない。けどそのモヤモヤ感は必要で、そ こからモヤモヤしながら、どういう切り口 で研究を進めるか、悩みながら考えるのが 大事かな。 ―面白そうな事例からテーマを固めていっ たのか、あるいは、大枠のテーマは決まっ ていて、そこから色々な事例を調べたので すか。 今川 : 両パターンあると思って、自分は元々、 テーマと事例をセットで考えていたが、最 終的にその事例でやると決めたのはもっと 後だった。他にもっと良い事例はないかと ずっとアンテナをはりながら同時並行で進 めていた。 髙橋:僕の場合は最初に資料のレビューを 徹底的に行い、テーマの 1 番幹の部分を整 理した。その上で事例としてはこことここ が見れるなということで、最終的に 3 都市 を決めた。 中島:僕は最初、堺と尼崎で結構おもしろ いことをやってそうだということで調べて いったが、結局おもしろいことをやってい るところを選びましたっていう研究は、特 殊解を一個言っただけであって、一般的な ことを言うのは難しい。だから最初は個別 の事例から入ったんだけど、国内の鉄鋼所 跡地を色々調べたり、共通の事業制度が無 いか調べたりデータを蓄積していって、最 終的にあのような事例選定に行き着いた。 逆に言えば、そのようにして最終的に事例 が定まった時期が遅かったから、北九州と かはしっかり研究する時間がなかったのは 反省。 今川:中島はまず事例を一個決めて、それ について深堀していって、それに伴ってテー マもどんどん深くなったり切り口も分かっ たりと、それでまたテーマに戻って、また それに合う事例を探してっていう、テーマ と事例の行ったり来たりだったよね。 髙橋:夏に堺に行っていたのはすごくよかっ たね。 中島:そうだね、テーマが決まっていない うちって深堀するのは無駄になるかもって 感じることはある。でも逆に一回突っ込ま ないと何も見えてこない。実際に行くこと でどういう場所か分かったし、人から話が 聞けたり、そうして早い段階で人とのつな がりをつくるのはすごい大事。そこで一回 知り合っていると、何か聞きたいことがあっ たりしたときに、調べてもらえたりした。 研究の進度によって知りたいことや聞きた いことが変わってくるし、何回も調査しに いってそこで人に聞いたりってのが必要に なるから、そういう意味でも早めに現地調 査をして、人のつながりを作っておくのは 大事。 には戦前戦後それぞれの都市計画事業との 関係を分析する視点。苦しんだのがもう1 つの視点で、これは研究室会議でも常々言 われ続けた研究の現代的意義の部分の話。 単純に対象箇所の現代までの状況を追って みたりもしたが、なかなか自分の納得行く やり方が見出せなかった。年末に現地調査 に行ってみると、計画としてはうまく行っ ていないが、空間的におもしろいものがあ るということが分り、この空間的な面白さ をどう論文にすれば良いのかとまたずっと 悩んだ ( 笑 )。そのまま悩み続けて、1/24 に伸さんと話して「こういう空間の面白さ があって、これって何なんですかねえ」っ て相談したら、伸さんに「それまさに都市 空間の構想力の話なんじゃないか」と言わ れてハッとした。ここでようやく考えが固 まった。論文の中ではしっかり言及はでき なかったが、自分が導きだしたものにちゃ んと名前をつけることができた。論文提出 の 2 日前のことです。 中島:あれで論文がしまったよね。 髙橋:うんあれで、論文の構成が自分の中 でも分かりやすくなった。 滝澤:卒業設計は論文を書くのとは違って、 対象敷地を歩いて、ある程度問題意識やコ ンセプト等を一通りまとめたうえで、設計 して細かいところを直す感じだけど、論文 になると根本的なところを行ったり来たり する機会が多い。レポートではなく論文と してちゃんとやるのは初めてだったから、 そのプロセスがだいぶ時間かかるなと思っ た。 中島:僕は設計と論文は結構近いなと思っ たところもあった。一月という直前期では、 当然これまで築いてきた枠組みから考える のだけど、バラバラと点在している調査を もう一回俯瞰で見て、ストーリーとしてく み上げていく感じは、設計と論文で似てい ■研究手法へのアプローチ ―テーマが決まったあと、分析手法につい てモヤモヤする期間があった、と今川さん がおっしゃっていましたが、結果的にどの ようにしてその手法に行き着いたのですか。 今川:色々な人に幅広くヒアリングしたり 先輩の研究を読んだりして、どういう手法 があるのかを調べて、色々試してみた。最 終的に、都市像というフレームで分析した のは先生にはいろいろと突っ込まれたが、 都市の開発の歴史とその後の動きとをつな げてみて、今のニュータウンが何によって 形成され、今後どこに向かおうとしている のかっていうのを見る、というのが 1 番良 い切り口かなと思ってやった。いつその手 法に決めたのかはあまり覚えていない。 中島 : 結構直前だったと思うよ。発表聞いて、 変わったなってびっくりした。( 笑 ) 今川:最後の一月の研究室会議の発表した 時に、調査で集めた材料はたくさんあった けど、それらが全然つながっていなくて、 説明したいことが説明できなかった。そこ ですごく反省して、一晩じっくり考えた。 最後まで手法では悩んでいたけど、もっと 早く決まっていれば、もっと効率よくヒア リングや資料集めができたのではと思う。 中島:修論ゼミで緑地でいけそうなんじゃ ないかという話になって、あれで決まった かな。中間発表のときに色々調べたが何が 言いたいのか分からないと言われて、結局 それぞれのプロセスは事例ごとにバラバラ だったけど、製鉄所跡地の緑地、というか 今考えると空地だと思うんだけど、空地が どうなったのかに着目すれば何か言えるの ではってことでまとめた。 髙橋:僕の場合は 2 つあって、1 つは時間 軸上で事業の立ち位置を見ること。具体的 6 ▲改めて読み直そうと思いました。

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中島健太郎 大規模工場跡地の土地利用転換プロセスにおける緑地の役割に関する研究 −開発需要の低い臨海部高炉製鉄所跡地を事例に− 概要  産業構造の転換により工場跡地が増加する中で、臨海部 に立地するような開発需要の低い跡地では現行の制度がう まく機能していないのではないかという問題意識のもと、 高炉製鉄所跡地を事例に土地利用転換プロセスの分析を 行った。緑地創出を含む 4 事例の分析を通して土地利用転 換プロセスの特徴とともに、都市計画事業によらない緑地 整備があることが明らかになった。さらに、こうした緑地 を含む堺製鉄所跡地の分析を通して、消極的な理由により 整備された緑地がプロセスの時系列の中で土地利用転換を 進める役割を担っていたことが明らかになった。 堺製鉄所跡地に設えられた親水空間 修士論文を終えて   「良い論文を書こう」と意気込んで始めるものの、 終わっ てみれば何一つ満足に実証できていない自分に愕然とする わけですが、修士論文発表会で厳しい意見をいただいた ことも含め学ぶことの多い期間であったと感じています。 色々な方に意見を求め、もっと議論すべきであったと強く 反省する一方で、無い知恵を絞りながらも自分なりに深め ていった経験は貴重であったとも思っています。 羽野明帆 神田地域における商工業地の実態と変容に関する研究 概要  戦後復興期及び高度経済成長期における都心の商工業集 積地の広がりを新たな一次資料を地図に落とし把握した。 その結果、業種集積地がその関連産業を含めると今まで知 られてきたより広く広がっていたこと、それらのフリンジ 部が重なり業種混在地域を形成していたことが分かった。 この業種混在地域について神田多町二丁目を事例とし、同 じく新たな一次資料と火災保険地図の比定による空間再現 を試みた。その結果、通りや街区単位で事業所の分布に特 徴が見られ、 町の歴史的背景と関連があることが分かった。 戦後印刷や染物長屋の集まっていた対象地の一画 修士論文を終えて  体調管理ができていなかったこと、その後なかなか持ち 直せなかったことを非常に後悔しています。またプロジェ クトから研究にするという点では、プロジェクトの中では インタビューや人付き合いから感覚的に分かってきたこと をきちんと根拠づけることの難しさを改めて感じました。 ただ、プロジェクトの中で個人的に掘り下げてきたこと を、不十分な形にせよまとめられたことは、意味があった と思っています。 7

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お風呂入っている時とか、こう漠然と思考を巡らせているときに、 頭の中をうようよしていたものがぱっとつながった。 る。論文は思いの部分だけでは語れないの だけど。 浜田:どういう瞬間にひらめいたんですか。 滝澤:お風呂入っている時とか、こう漠然 と思考を巡らせているときに、頭の中をう ようよしていたものがぱっとつながった。 今川:僕はもう少し勇気を持って、この分 析でやると決めて、一度形にまでするのを もう少し早くやるべきだったかな。一度一 通りやってみて、フィードバックするとい うプロセスを経ないと研究として深まって いかないし、どういう方向性でやりたいの かも定まらない。こうなのではと思ったこ とを、その枠組みで調べて仮の結論にまで 持っていくことを早くやるべきだった。 髙橋:とりあえずやってみようというのは、 早ければ早いほどいい。僕も 5、6 月の時点 で、具体的に何するか全然決まっていなかっ たが、ひたすら 5 年 ×365 日の官報をひた すらエクセルに入力するという作業をして いた。その結果、3 章はそれをもとに組み立 てられその後も揺るぐことはなかった。 中島:その作業を通して、事例の選定が明 確になったよね。 髙橋:その時は身になるかどうかは分から ないけど、現地調査をしたり図書館で資料 見たり、自治体に問い合わせたりとかして いるうちに、点で見えたものが面のうちの どこに位置するのかっていうのがなんとな く見えてくる。 中島:黒瀬さんに言われたことが印象に残っ ていて、研究は起承転結でいう「転」がと ても大事だということ。一般的に見てこれ 中島:それを見つけるためには今川君が言っ てたようにたくさん悩む時間が必要なんだ ろうな。 *  今回の座談会では、修論発表を終えた率 直な感想から始まり、研究テーマが決まっ た要因や、具体的な研究手法にまで話は及 びました。悩み、もがきながらも修論に向 き合った先輩方から出てくる言葉は四者四 様でありながら、とても説得力のあるもの でした。これから修士研究に取り組む人に 何か少しでも感じとってもらい、明日への 研究のモチベーションにしていただければ という思いで、修論特集として座談会を記 事として取り上げさせていただきました。  お忙しいところ、座談会に参加して頂き ありがとうございました ! ■ ▲座談会前の談笑、東大工学部の前身である工科大学の初代学長であった古市公威像前にて。 は大事ですねっていうのは誰でも分かるが、 細かく見なければ分からないような発見的 な、 「転」の部分が研究では大事。転の部分 が見つけられなくて苦労はしたが、何の価 値もないと思われていたような草むらのよ うな緑地が実は効果を発揮していたという、 強引な感じも否めないんだけど、そういう 「転」の部分をずっと発見したいと思ってい て、最後そこに着地できたのは良かった。 分かりきっていることの一歩先みたいなも のを見つけるには、物事のウラまで知ろう としなければできないし、それはちょっと 偉そうなことを言えばうちの研究室だから こそできることだと思う。 髙橋:ほんとうにそうで、僕の研究は生産 都市再建整備事業がそもそも初出の事業で、 僕が調べてレビューすれば新しいことが分 かるから、学術的な価値という点では比較 的わかりやすいテーマだった。だけど、新 しいことが分かったね、だけだと自分の考 える都市デザイン研究室的には今ひとつ物 足りなくて。直人先生にも度々言われた、 都市論の話なんかがかなり響いていると思 うんだけど。なので、最後伸さんとの話で 空間のことが整理でき、自分の中で腑にお ちました。 ―最後に、何か一言ありますか。 ■これをしておけばよかった ―研究をするうえで、これをしておけばよ かったなと思うことを教えてください。 滝澤:個人的には文献を読むということ。 具体的なテーマを確定させるのはもっと後 でも良いが、ある程度のテーマが見えてい て、その中からどう具体的なテーマを導い ていくかをやる前の段階で、文献など手当 たり次第読むことをもう少しやりたかった。 今川:先輩の修士論文をもっと参考にすべ きだよね。テーマとか似たようなもので探 しがちだけど、全然テーマは違っていても 分析手法のところで、こういう切り口があ るのか、こういう方向でいけるんだと勉強 になるから。 滝澤:章立てとか、こういう感じで議論を 組み立てていくのかはとても参考になるよ ね。 滝澤:章立てや研究手法とか、それこそ対 象敷地がまだ決まっていないときでも、ジャ ンルの近い文献や論文を読み漁って自分の 中で蓄積しておくと、読み漁っているとき は全然意味ないように思えるが、ひらめい た瞬間、蓄積していた知識が活きていたん だなと気づいたから、そうした蓄積をもっ と早くからやっていたらもっと内容が深め られたのではと思っている。 8

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森川千裕 東京都における中央卸売市場群の立地の変遷に関する研究 概要  東京都にある中央卸売市場において、中央卸売市場が設 置されてから現在までの立地の変遷を追った。社会情勢の 変化に伴い市場政策がどのように行われていったのか、こ れを受けて中央卸売市場の立地は空間的にどのように変遷 していったのかを明らかにした。また、市場政策によって 統廃合が行われる中、中央卸売市場制定時から残っている 市場が存在しており、淀橋市場において、固定的な搬出域 ・ 卸売市場機能の周辺への溢れ出し・社会的つながりが見ら れた。 東京都中央卸売市場淀橋市場の様子 修士論文を終えて  このテーマを決めた理由は、テーマが決められない中、 卒業制作で淀橋市場について取り組んだ際に、ハードの提 案に偏ってしまい、中央卸売市場の存在意義について詳し く調べることが出来なかったという反省があり、また取り 組んでみようと思ったため。率直な感想としては、相談に 何度ものってくださった先生方、何から何まで支えてくれ た同期のみんな、手伝ってくれた後輩たちに、本当に感謝 しておりますの一言に限る。 修論発表後、神田の王府酒家で打ち上げが行われました !! 9

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卒業論文・設計審査会 The Final Defense of Graduation Thesis. SAMMONJI MASAYA 設計概要 三文字昌也 「沁透街巷」―台湾台南市における都市空間の漸進的更新設計  台湾台南市で明確に分かる二重の 「皮餡」 構造を小籠包の 「籠 ・ 皮・餡」と読み解き、断絶された街区のオモテとウラを蒸し沁 透させるというコンセプトの設計を行いました。 卒業設計を終えて  分析とコンセプトはそこそこ面白いレベルまで行ったと自負 しています。しかし具体的な提案がちょっとまだ満足いきませ ん。建築ではない都市工学なのだ、ということでデザインラン ゲージ的な提案となったのですが、もう 1 段階も 2 段階も具 体に落とし込むべく練られたはず。幸いにしてまだ機会がある ようなので、まだ少し考えてみたいと思います。 室外機と給水塔制作し てくれたヘルパーの皆 様に感謝(やりすぎ) NAKAMURA Shingo 設計概要 中村慎吾 古都を興す奈良スクエア  かつての興福寺境内であり、県庁舎や文化会館などの大規模 施設が集積する地区において、近代化の流れを反省して建物や 空地を人間スケールに戻しつつ、諸機能の混在を図って新たな 奈良の中心の在り方を提案しました。 卒業設計を終えて  卒業設計がいざ終わってみると、もっと熱心に取り組めたの ではないかという後悔の念が湧いてきますが、土地の見方やコ ンセプトの立て方について一定の時間と労力を割いて考えてみ るという経験ができたことは大きな収穫になりました。大学院 で研究するテーマは未定ですが、卒業設計で得たものをうまく 生かしていければと思います。 北西側より撮影 した提案模型 10

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2/15・2/16 に卒業研究の審査会が実施されました !! 修論発表に続く 2 月 15 日、16 日には学部生の卒業研究審査会が実施され、都市デザイン研究室からは三文字・小林・ 中村・松田・籔田の 5 名が卒業設計に挑みました。各々の良さや特徴を活かした個性的な作品が出そろいました。 MATSUDA Kishiko 設計概要 松田季詩子  住み人知らず 新しい街で計画の「はざま」と「先」を考える  江東区辰巳にて、辰巳団地の建て替えと展望を設計する。既 存住民の豊かな使用を増進するように空地に可変性を設けると ともに、わずかに高層化した分の空きにコロニー状に新規住民 を入れ、長期的に周囲と馴染ませる。 卒業設計を終えて  運河の両岸に横たわる辰巳と東雲を見たことが対象敷地を決 めるきっかけになったのに対し、実際の設計は辰巳団地内とい う小スケールになりました。描く未来像の範囲も方向性も五里 霧中の中で導いた、人々の生活が「その人々にとって」豊かで あるにはというテーマは、今後も深め、ちゃんと伝わるように 表現したいです。勉強が全然足りないですね…。 小まめに管理された 現在の辰巳団地の空地 YABUTA Kohei 設計概要 籔田航平 「訪れる海」から「すまう海」へ 須磨の海岸をまちとつなぐ道  対象地は神戸市須磨区の須磨駅周辺地区です。 須磨は海と市街地との距離が極めて近く、両者の関係を強化し たいという意識から、須磨の海を訪れた人が「すまう」ように なるための提案を行いました。 卒業設計を終えて  中高合わせて 6 年間住んだ地でしたが、 調べれば調べるほど、 須磨について何も知らなかったことに気付かされました。設計 は主に観光客目線で行いましたが、どうしても住民側に立ち位 置が寄りがちで苦労しました。発表前 2 ヶ月は本当にしんど かったですが、設計を幾分面白いと感じられるようになった点 で、設計を選んでよかったと思っています。 パネルやスーツも海を 意識しました(笑) 11

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2/15・2/16 に卒業研究の審査会が実施されました !! KOBAYASHI Risa 小林里瑳 「ここはかつて『皇居前広場』と呼ばれていたらしい」 設計概要  皇居前広場を対象に、ある特定の時代のイデオロギーが付与 したイメージが漂う敷地に対してそのイメージを更新する事を 目的に、隣接する都市を物理的にも心理的にも近づけるべく濠 というエッジ部の設計を行った。 卒業設計を終えて  special edition と呼ぶべき分岐が大量にあり、シナリオの 選択に多大なる労力を費やした結果、実際の設計を十分に検討 する時間を取れなかった。またシナリオにおいても伝えたい事 を充分まとめ切る事ができなかった。しかし過程において何度 でも挑戦したい、と思えるほどの愛着が湧いた設計であった。 一番濃い時期に使った ノート。丁度発表前日 に使い潰した。 2 月のウェブ記事 ▲卒業設計審査会の前夜、演習室の様子。夜通しで先輩方とと もに作業が進んでいます。 佐 第二 回 さ わ ら ぼ 活 用 ア イ デ ア 会 議 1 月 30 日に行われた、 「第二回さわらぼ活用アイデア会 議」の活動報告。 3 月の予定 3/18 クリス先生送別会 3/24 研究室追い出しコンパ 3/29-31 神田 PJ: 多町報告会 ▲打ち上げ後は演習室に戻って延長戦が行われ、西村先生から コメントをいただきました !! 編集後記 富田 晃史 卒業式の歌として有名な「仰げば尊し」の 3 番の冒 頭で、 「朝夕馴れにし学びの窓」と詠ってます。PJ や研究室会議発表の準備など、研究室で幾度も夜通 し作業をした先輩方にとっては、9 階エレベーター 横のガラス窓から見える朝焼けや夕焼けは、これま での研究室生活をどこか想起させるような、見慣れ た風景となっているのではないでしょうか。 表紙の 写真は、 都市デザイン研究室で過ごしてきた先輩方  卒業制作の発表は 1 月末からの一連の論文審査会やジュリー続きの一 番最後のタイミングで実施されるため、提出前夜は修士生や卒論発表の 終わった B4 の同期、お手伝いの下級生やお友達のヘルパーさんなどが 2F 演習室に大集結し、わいわいとお祭り騒ぎで最後の仕上げが行われま した。B4 の皆さんも長期戦で非常に体力も精神も消耗している様子で したが、発表後は疲れ切った表情の中にやりきった清々しさがあふれ出 ていました。B4 の皆さん、お疲れ様でした !!    ( 編集 M1:浜田 )   に共通する風景は何かないものかという思いから決 めました。 12

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